三宝絵詞 (Sanpo-e (a Japanese literary collection of Buddhist narratives))
三宝絵詞(さんぼうえことば)は、平安時代中期の仏教説話集。
略して三宝絵(さんぼうえ)とも呼ばれている。
円融天皇の永観2年(984年)11月に成立。
二品尊子内親王(966-985)のために学者源為憲(?-1011)が撰進。
尊子内親王は三歳で父帝冷泉天皇の斎院に卜定され、退下ののち叔父にあたる円融天皇に入内するが、天元 (日本)5年(982年)四月、密かに髪を切り入道した。
その後、内親王の仏道の入門書として「三宝絵詞」3巻が献上された。
本文の注記によれば成立当時は絵を伴ったが、やがて絵は散逸し、説話のみが現存。
三宝とは仏(釈迦など諸仏)・法(経典)・僧を指し、本書はその功徳について述べたもの。
上巻13話は釈迦の本生譚。
中巻18話は本朝の高僧伝などで、内17話までが『日本霊異記』からの引用。
下巻は年中の仏事(法会)の来歴・作法を月次に解説。
三巻はそれぞれ、「昔」、「中頃」、「今」の時代に対応する。
伝本の形態には平仮名、変体漢文、漢字片仮名の別がある。
現代思潮社や平凡社の東洋文庫から校本が出ている。
全部ではないが、源俊頼の書道として伝えられる。
書風は温雅、清楚で気品も高い。
奥書きに「保安元年(1120年)六月七日書うつしおはりぬ」とある。