勢至菩薩 (Seishi Bosatsu)

勢至菩薩(せいしぼさつ)、梵名マハースターマプラープタ (mahaasthaamapraapta)は、仏教における菩薩の一尊。
大勢至菩薩、得大勢至菩薩と表記されることもある。

三昧耶形は未敷蓮華(ハスの蕾)。
種子 (密教)(種字)はサク(saH)。

阿弥陀三尊の右脇侍で、仏の智門を司り、衆生の菩提心を起こさせる。

智慧の光を持って一切を照らし衆生が地獄・餓鬼界へ落ちないように救う菩薩。

現在日本では午年の守り本尊として知られている。

大勢至といわれる所以は多くの威勢自在なるものを「大勢」、大悲自在を成し遂げる(果)に「至」るから採られていると思われる。

日本では、勢至菩薩が単独で信仰の対象となることはきわめてまれで、多くは阿弥陀三尊の脇侍として造像された。
観音菩薩が宝冠の前面に化仏を表すのと対照的に、勢至菩薩の場合は水瓶を付けることが多い。
来迎形式の阿弥陀三尊では、観音菩薩が蓮台を捧げ持つのに対して、勢至菩薩は合掌する姿で表される。

なお、法然を勢至菩薩の化身とする説が中世からあった。
法然は幼名を勢至丸といい、「智慧第一の法然坊」といわれ、生前から智慧の化身として考えられていた。
法然没後、弟子の親鸞は「大勢至菩薩和讃」を詠み、末尾に「大勢至菩薩は源空上人(法然)の御本地である」と述べている。
また親鸞の妻恵信尼が霊夢を見、「光ばかりの御仏」を見たところ、「あれは勢至菩薩で法然のことだ」という声が聞こえたという話が「恵信尼消息」に出ている。
京都知恩院には勢至堂が建てられ、本尊として勢至菩薩像が安置されている。
これは法然の本地であるという。
この像は来迎阿弥陀三尊の脇侍としての勢至菩薩と同様、合掌形に表わされている。

中世では、長野の善光寺如来(善光寺式阿弥陀三尊)の摸刻像が盛んに造られるようになるが、この時は、観音と勢至の二菩薩は、胸前で両手を合せる姿で造形される。

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