白隠慧鶴 (Hakuin Ekaku)
白隠 慧鶴（はくいん えかく、1686年1月19日（貞享2年12月25日 (旧暦)） - 1769年1月18日（明和5年12月11日 (旧暦)））は、臨済宗中興の祖と称される江戸時代の禅僧である。
諡は神機独妙禅師、正宗国師。
五百年に一人の名僧とまで言われた。
「駿河には過ぎたるものが二つあり 富士のお山と原の白隠」などと謳われた。
駿河国原宿 (東海道)（現・静岡県沼津市原）にあった長沢家の三男として生まれた白隠は、15歳で出家した。
諸国を行脚して修行を重ねた。
24歳の時に鐘の音を聞いて悟りを開く。
(それで)も満足せず、修行を続けた。
のちに病となるも、内観法を授かって回復した。
信濃国（長野県）飯山市の道鏡慧端（道鏡慧端）の厳しい指導を受けた。
悟りを完成させた。
以後は地元に帰って布教を続けた。
曹洞宗・黄檗宗と比較して衰退していた臨済宗を復興させた。
「駿河には過ぎたるものが二つあり、富士のお山に原の白隠」とまで歌われた。
現在も、臨済宗十四派は全て白隠を中興としている。
(その)ため、彼の著した「坐禅和讃」を坐禅の折に読誦する。
現在、墓は原の松蔭寺にある。
県指定史跡となっている。
彼の描いた禅画も多数保存されている。
略歴
1685年 駿河の原宿で生誕。
1700年 地元の松蔭寺の単嶺祖伝のもとで出家する。
沼津の大聖寺息道に師事する。
1703年 清水の禅叢寺の僧堂に掛錫するが、禅に失望し詩文に耽る。
雲棲袾宏の『禅関策進』によって修行に開眼、諸国を遊方する。
美濃国（岐阜県）の瑞雲寺で修行。
1708年 越後国（新潟県）高田の英巌寺性徹のもとで「趙州無字」の公案によって開悟。
その後、信州（長野県）飯山の道鏡慧端（正受老人）のもとで大悟、嗣法となる。
1710年 京都の北白川で白幽子という仙人に内観法を学び、禅病が完治する。
1716年 諸方の遊歴より、松蔭寺に帰郷。
1763年 三島市（静岡県）の龍澤寺を中興開山。
1768年 松蔭寺にて示寂。
思想
彼は初めて悟りの後の修行の重要性を説いた。
生涯に三六回の悟りを開いたと自称した。
また、これまでの語録を再編して公案を洗練させ、体系化した。
中でも自らの悟りの機縁となった「隻手の声」と「狗子仏性」の問いを、公案の第一に位置づけた。
以後の修行者に必ず参究するようにさせた。
主要な著作
『遠羅手釜』
『夜船閑話』
『坐禅和讃』
『白隠和尚全集』全8巻 龍吟社 昭和10年
『白隠禅師法語全集』全14巻＋別冊『総索引』、花園大学禅文化研究所