石仏 (Stone Buddhist Image)
石仏(せきぶつ)とは、石に彫られた仏像や道祖神などの神像なども含め総称されるが、その規模は寺院や神社の境内、路傍などで見られるような小さいものから、臼杵磨崖仏、インドのアジャンター石窟、エローラ石窟、中国の雲岡石窟、龍門石窟などに代表されるような巨大な岩盤に彫られた磨崖仏まで多様である。
概要
関西地方を中心に権力者、修験者、僧侶などによって古代、中世より多く作られるようになるが、近世にに至ると素朴な信仰心を背景に一般庶民がその制作に携るようになる。
関東では多様な表現での石仏が多く彫られた。
現存する石仏の約80%位は江戸時代に制作されたものといわれている。
石仏の種類
地蔵菩薩
いわゆる「お地蔵さん」と呼び親しまれているもので、右手に錫杖、左手に宝珠を持っているのが特徴。
全国各地で見られる。
立像と坐像があり、坊主頭で衣をまとっている姿が一般的。
丸彫り、線彫り、浮き彫りなどの彫り方の違いがある。
六地蔵
六体からなる地蔵菩薩。
地蔵菩薩は弥勒菩薩がこの世に現れるまでの無仏の間、六道(地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天)へ救いの手を差し伸べるとされ、各道に各地蔵が派遣されているという考えに基づく。
観音像
馬頭観音が最もよく見られる。
千手観音は、千の慈眼、千の慈悲で衆生を救う観音菩薩。
合掌する両手のほかに、左右20手ずつの40の手を持ち、掌中に各一眼を有す。
如意輪観音
立て膝で頬に指を当てた姿態の坐像で、一面二手、四手、六手像が一般的である。
宝珠と法輪を手に持っている。
江戸時代中期以降は、女性の信仰の対象になることが多くなり、月待供養、念仏供養などの主尊として数多く造られるようになった。
道祖神
峠や村境あるいは橋のたもとなどに多く祀られ、別名「さえのかみ」とも呼ばれ、その起源は中国に求められる。
外敵や疫病から民を護ってくれるという素朴な民間信仰から生まれた神である。
その姿も多種多様であり仲睦まじい男女の姿として彫られているものもあり縁結び、子孫繁栄、交通安全の神としても信仰される。
日本では長野県安曇野市や松本市などの数多く見られる。
庚申塔
村や集落などの出入り口にあり、申(さる)と太陽と月が描かれている。
中国より伝来した道教に由来する庚申信仰に基づいて建てられた石塔である。
干支で猿に例えられるため、「見ざる、言わざる、聞かざる」の三猿を彫られることや庚申の祭神が神道では猿田彦神とされることから、猿田彦神が彫られることもある。
特に旧相模国を中心とした地域では数多くの庚申塔が建立された。