阿弥陀経 (Amida-kyo Sutra)
『阿弥陀経』(あみだきょう)は、大乗仏教の経典の一つ。
原題は『スカーバティービューハ』(サンスクリット:Sukhāvatīvyūha)で、「極楽の荘厳」の意味である。
サンスクリットでは同タイトルの『無量寿経』と区別して『小スカーバティービューハ』とも呼ぶ。
略称は、『無量寿経』の『大経』に対して、『小経』と呼ばれる。
『阿弥陀経』は、弟子の質問に答える形の経ではなく、釈迦自ら説かれた経であるため「無問自説経」ともよばれる。
1世紀ころ、北インドで成立したと推定されている。
サンスクリット原典、中国語訳、チベット訳が、現存する。
日本では、一般に『仏説阿弥陀経』(鳩摩羅什訳)を指す。
詳細は下記の『仏説阿弥陀経』を参照のこと。
サンスクリット原典も古くから日本に伝えられ、江戸時代から出版・研究されてきた。
仏説阿弥陀経
『仏説阿弥陀経』1巻 後秦の鳩摩羅什(くまらじゅう)訳(402年ごろ訳出)。
浄土教日本の根本聖典の一つで、『仏説無量寿経』(康僧鎧訳)、『観無量寿経』(畺良耶舎訳)とともに「浄土三部経」と総称される。
非常に短い経典のため、『四紙経』と別称される。
『大正新脩大蔵経』(以下、『大正蔵』) 第12巻 P346~P348。
現存する訳本の中で、一番原典に近い訳本。
内容
まず阿弥陀如来の極楽浄土の荘厳を説く。
次にその浄土に往生するために阿弥陀仏の名号を執持(しゅうじ)することを勧める。
最後に六方世界の諸仏がこの説を讃嘆・証誠して信ずることを勧める。
仏説小無量寿経
『仏説小無量寿経』1巻 宋 (南朝)の求那跋陀羅(ぐなばだら)訳(455年ごろ訳出)
欠本。
称讃浄土仏摂受経
『称讃浄土仏摂受経』1巻 唐の玄奘三蔵(げんじょう)訳(650年訳出)。
『大正蔵』 第12巻 P348~P351。
鳩摩羅什訳の六方世界に対して、十方世界に増やされている。
また、異民族を差別する思想が見られる。