黒闇天 (Kokuanten)

黒闇天(こくあんてん、サンスクリット:Kālarātri、Kālarātrī)は、仏教における天部の神の1つ。
吉祥天の妹。
また閻魔王の三后(妃)の1人ともされる。
中夜を司り、不吉・災いをもたらす女神。

黒闇女、黒夜天、暗夜天、黒夜神、あるいは別名“黒耳”(こくに、KālakarNī、不幸・災難の意)などとも呼ばれ、その原語は、元来“世界終末の夜”を意味する。

つねに姉の吉祥天と行動を共にするが、彼女の容姿は醜悪で性格は姉と正反対で、災いや不幸をもたらす神とされる。
『涅槃経』12には「姉を功徳天と云い人に福を授け、妹を黒闇女と云い人に禍を授く。」
「此二人、常に同行して離れず」とある。

ヒンドゥー教では、別名である原語の“黒耳”が擬人化され、シヴァ神の妃であるドゥルガーと同一視され、またヤマ(閻魔)神の妹とされた。
ただし、『大日経疏』10に「次黒夜神真言。」「此即閻羅侍后也」などとあることから、密教では中夜を司り閻魔王の妃とする。
彼女の図画は胎蔵界曼荼羅の外金剛部院に確認できる。
その姿は肉色で、左手に人の顔を描いた杖を持っている。

[English Translation]