散華 (Sange (to scatter flowers))

散華(さんげ)とは、以下を意味する。
仏に供養するために華(花)を散布すること
四箇(密教では二箇)の法要の1つ
声明の一種。

法会で散華を行う際に歌唱する。

経典の中の散文の部分。
偈文の部分は貫華(かんげ)という。

戦死を意味するもの

仏教の散華
仏や菩薩が来迎した際に、讃嘆するために大衆や天部の神により華を降らしたという故事にちなんで行われる。
釈迦仏の前世である儒童梵士(じゅどうぼんし)が燃燈仏に華を散らして供養した話などはその代表的な例である。

寺院で法要を巌修する時に、仏を供養するため花や葉を撒き散らす。
法要に散華を行うのは、華の芳香によって悪い鬼神などを退却させ、道場を清めて仏を迎えるためとされる。

元来、蓮などの生花が使われていたが、現在は蓮の形を模った色紙で代用することが多い。
その形から分かるようにハスを模っている。
これは釈迦と深い繋がりがあり、葬儀など仏を供養する場で撒かれることがある。

また入仏開眼や寺院の落慶法要では大量の散華が撒かれ、見ごたえがある。
散華をコレクションする人々も存在する。

戦死を指す散華
上記、仏教の散華を、“華を散る”=“花を散る”と訓じたもの。
もともと日本には仏教の無常観の影響を受けた「もののあはれ」など儚さを美しく感じる風土があった。
それが死の観念と結びついたものである。
すぐに散る桜の花は儚さを象徴したため散華のシンボルに使われることとなった。
ちなみに花というと平安期以前は梅を指すことが多かった。

戦争にて日本軍の兵士が戦死することを美化して散華という。
特に、他を守るためや救うために犠牲となるような形(結果はともあれ形式上)で戦死することを指す。
玉砕と共に、戦死を美化する表現である。
時に玉砕とほぼ同義に使われるが、特別攻撃隊による戦死においてはこの表現が用いられることが多い。
ただし、将官級の軍人が死亡した場合はどのような形で死亡してもこう呼ぶことがある。
なお、日本兵でも殉職や事故・病死、空襲等による戦災死、他国兵士が戦死した時は散華とは通常言わない。

往々にしてこの場合の花はサクラにたとえられる。
逆に、ツバキの花は花びら全てが一気に落ちるのを「首が落ちる」ことに例えられ、罪人の斬首を想像させて喜ばれない。

[English Translation]