釈迦三尊 (Shaka Sanzon)
釈迦三尊(しゃかさんぞん)とは、仏教における仏像安置の形式のひとつ。
日本では偏袒右肩で衣をまとって施無畏印・与願印か説法印を結んだ釈迦如来(しゃかにょらい)を中尊として、脇侍(きょうじ、わきじ)として左に騎獅の文殊菩薩(もんじゅぼさつ)、右に乗象の普賢菩薩(ふげんぼさつ)を配置するのが一般的。
(この場合の「左」「右」とは中尊から見た「左」「右」を指す。)
なお、釈迦如来の両脇侍として、文殊菩薩・普賢菩薩ではなく、薬王菩薩・薬上菩薩を配することがまれにある。
薬王菩薩・薬上菩薩は兄弟の菩薩であるとされ、人々に良薬を与えて心身の病を癒したという。
法隆寺金堂に安置されている釈迦三尊像(国宝)の脇侍は寺伝では薬王菩薩・薬上菩薩と称している。
奈良・興福寺の中金堂の本尊釈迦如来の脇侍像(鎌倉時代、重要文化財)も薬王・薬上菩薩と呼ばれている。
興福寺の薬王・薬上菩薩像は、元は同寺西金堂(廃絶)の本尊釈迦如来像の脇侍だったもので、現存像は鎌倉時代の再興像であるが、奈良時代の西金堂創建時から薬王・薬上菩薩像が安置されていた。
この薬王・薬上菩薩像は、像容、服装、持物等に特筆すべき特徴のない、ごく普通の菩薩像である。
観音菩薩と虚空蔵菩薩や、梵天と帝釈天を脇侍とする例も見られる。
なお、「一介の人間としての釈迦」を重視する臨済宗、曹洞宗、黄檗宗の禅宗各派では釈迦如来の脇侍として大迦葉尊者・阿難尊者を配し、十大弟子・十六善神が随従することがある。
また、「本仏としての釈迦」を重視する日蓮宗・法華宗では、多宝塔(宝塔)を中心に釈迦牟尼仏と多宝如来を左右に一塔両尊の形式で世尊を安置する。
随従するのは本化地湧(ほんげじゆ)という上行菩薩(じょうぎょうぼさつ)・無辺行菩薩(むへんぎょうぼさつ)・浄行菩薩(じょうぎょうぼさつ)・安立行菩薩(あんりゅうぎょうぼさつ)の四大菩薩である。
この場合は、他の一世尊二菩薩の三尊像と異なり、二世尊四菩薩である。