玉串 (Tamagushi)

玉串(たまぐし)とは、神道の神事において参拝者や神職が神前に捧げる、紙垂(しで)や木綿(ゆう)をつけた榊の枝である。
スギ、モミ、カシの枝などを用いることもある。
神宮大麻の祓い串のように、参拝の証として持ち帰り、千度祓い万度祓いを行う例もある。

玉串を神前に捧げて拝礼することを玉串奉奠(たまぐしほうでん)という。
玉串の捧げ方は以下の通りである。

神職から玉串を渡されたときは、右手で玉串の根元を上の方から持ち、左手で葉先を支えるように持る。
このとき、左手(葉先)の方が高くなるようにする。

玉串を捧げる案(机)の前へ進み、一揖(軽いおじぎ)する。

玉串の根元が自分がいる方向に向くように右手を引き(葉先が神前に向かう)、左手も根元に持ち替えて、祈念する。

右手で玉串の葉先を持ち、時計回りに玉串を動かして根元が神前に向かうようにする。

玉串を案の上に置き、二礼二拍手一礼をし、再び一揖して元の席に戻る。

※神社によっては、上記と全く異なる作法で玉串を捧げている。
また「玉串拝礼」や「懸玉串」や「立玉串」等の作法もある。

日本神話では、天照大神が天岩戸した際、玉や鏡などをつけた五百津真賢木(いほつのまさかき)をフトダマが捧げ持ったとの記述が、玉串の由来とされている。
実際には、神霊の依代が玉串の由来であると考えられている。

「たまぐし」という言葉の語源については諸説ある。
平田篤胤らは神話の記述のように玉をつけたから「玉串」だとし、本居宣長は「手向串」の意としている。
「たま」は「魂」の意だとする説もある。

百人一首「このたびは 麻もとりあへず 手向山 紅葉の錦、神の随に」 管公・菅原道真
には、紙垂や木綿を付けない紅葉を玉串とした様子が詠われている。

神社に祈祷を依頼する際に納める金銭のことを、「初穂料」のほか「玉串料」と書くこともある。
初穂料はお札やお守りなどを受ける際の金銭にも使うが、玉串料は玉串のかわりとして納める金銭という意味であるので祈祷の依頼の際にしか使わない。
また、神葬祭の不祝儀袋の表書きも玉串料(または御榊料)と書く。

その他

この漢字表記における「玉串」という地名が、大阪にある。

天平勝宝6年(西暦754年)、河内国の風水害をおさめるため、旧大和川上流より櫛笥が流された。
櫛笥の流れ着いた場所に、玉串明宮(現在の津原神社)が建てられ、その周辺一帯を玉串と呼ぶようになった。
現在は東大阪市内の町名で、近鉄バス山本線の停留所ではたまぐし読みとなっているが、地元小学校付近ではたまくし読みが定着している(河川-玉串川)。

[English Translation]