鈴 (Rin (bell))
「鈴」(りん)とは、仏具の1つ。
「錀」とも書く。
用法
縁を棒で打ち鳴らして用いる。
「鈴台」と呼ばれる台の上に、「鈴布団」と呼ばれる中敷を置き、その上に「鈴」を乗せて用いる。
勤行の際に、経典などの読誦の開始・区切り・終了の合図として打つ。
また、合掌を解く合図としても打つ。
鈴を打つ際に用いる棒を、「鈴棒」(りんぼう)、「撥」(ばち)、「倍」(ばい)と呼ぶ。
形状
鉢状である。
金属製の足と一体になった物は、「高台りん」と呼ばれる。
大きさは、直径6cm(三寸)から90cm(三尺)程度である。
一般に、小型の物は仏壇で用い、大型の物は寺院で用いる。
また寺院用の物は、「磬子」(きんす)・「磬」・「鏧」などと呼ばれる。
縁が厚くなり、色も黒く漆を焼付けたものが多い。
印金
「印金」とは、小型の「鈴」に布団と柄を付けて携帯できるようにしたもの。
鈴台
「鈴台」(りんだい)とは、「鈴」を置くための仏具。
形状
一般に丸型、六角型の物が多い。
真宗大谷派では、四角形の専用の「鈴台」を用いるのが正式である。
透かしの形状により、「後平型」・「八猪目型」・「壺繰型」がある。
専用の鈴台は、畳の上に直に置いて用いるのが、正式な作法である。
大谷派専用の鈴台を用いる際は、「鈴ふとん」を用いずに、「雲輪」(くもわ)を用いる。
「雲輪」の略式として、「金襴輪」(きんらんわ)を用いる場合もある。
「撥」(鈴棒)は、勤行時以外は「鈴」の中に入れておき、勤行中は鈴台の上、「雲輪」の右側に置くのが、正式な作法である。
れい
鈴(れい)とは、密教では、小型の鐘に似た手持ちの仏具である。
金剛鈴(こんごうれい)、宝珠鈴(ほうじゅれい)などが知られる。
金剛鈴の種類
独鈷鈴(どっこれい)
古くは武器の一種であった独鈷杵(どっこしょ)の片側に鈴がついたもの。
三鈷鈴(さんこれい)
三鈷杵(さんこしょ)の片側に鈴がついたもの。
五鈷鈴(ごこれい)
五鈷杵(ごこしょ)の片側に鈴がついたもの。
すず
鈴(すず)とは、金属や陶器などでできた中空の球の中に小さな玉を入れたもの。
振って鳴らす楽器。
神道では、神楽(かぐらまい)を巫女(みこ)が舞うとき手に持って鳴らす巫女鈴がある。
また神社の拝殿で神の注意を引くために振り鳴らす鈴がある。
『日本書紀』の顕宗紀には、即位元年の2月に置目という名の老婆が顕宗天皇のもとに現れた。
亡父の骨の所在を示したため、天皇は礼として置目を宮殿の近くに住まわしめた。
自分のもとに参る時は「縄の端に鐸を掛けて鳴らし、取次の者に到着を知らせよ」と詔したという記述がある。
これは日本における実用的な鈴の使い方としては最も古い例に属すると思われる。
楽器
クラシック音楽では、打楽器として用いられる。
テンプルベル
「テンプルベル」とは、主に近代音楽以降、特に現代音楽において用いられる。
マレットで叩く奏法のほか、弦楽器の弓で擦ることもある。
スレイベル
そりの鈴の項目を参照。
その他
呼び鈴など、合図や注意のために音を発する器具も意味する。
ほかに、風鈴などもある。