ククノチ (Kukunochi)
ククノチ(クグノチとも)は、日本神話に登場する木の神 (神道)である。
古事記では久久能智神、日本書紀では句句廼馳と表記する。
神産みにおいて、イザナギ・イザナミの間に産まれた神である。
古事記においてはその次に山の神オオヤマツミ(オオヤマツミ)、野の神カヤノヒメ(カヤノヒメ)が産まれている。
日本書紀の本文では山・川・海の次に「木の精ククノチ」として産まれており、その次に草の精・野の精の草野姫(カヤノヒメ)が産まれている。
第六の一書では「木の神たちを句句廼馳という」と記述され、木の神々の総称となっている。
神名の「クク」は、茎と同根で木が真っ直に立ち伸びる様を形容する言葉とも、木木(キキ・キギ)が転じてクク・クグになったものともいう。
「ノ」は助詞の「の」、「チ」はカグツチなどと同じく神霊を意味する接尾詞であるので、「ククノチ」は「茎の神」「木の神」という意味になる。
公智神社(兵庫県西宮市)の主祭神になっているほか、久久比神社(兵庫県豊岡市)には全国唯一のコウノトリ伝説のある神社もある。
木魂神社という名のククノチ神を祭る神社も複数ある。
樽前山神社(北海道苫小牧市)では原野の神・開拓の神として大山津見神・鹿屋野比売神とともに祀られている。
延喜式祝詞には屋船久久遅命(やふねくくのちのみこと)の名が見え、ククノチと同神と見られる。
屋船久久遅命は上棟式の祭神の一つとされている。