八神殿 (Hasshin-den)
八神殿(はっしんでん)は、日本の律令制の下で神祇官西院に設けられた、天皇を守護する八神を祀る神殿である。
八神殿に祀られる神 (神道)は以下の神である。
『延喜式』と『古語拾遺』で表記が異なるが、同じ神である。
天皇を守護することで、ひいては国家も守護するとされる。
そのためか、民間でもこの八神を祀ることがあった。
鎮魂祭では、この八神に大直日神を加えた九神を祀る。
古図によると、八神殿は各神を祀る社殿がそれぞれ独立しており、神祇官西院の西北に、東面した8つの社殿が南北に並んでいた。
南北10丈、東西3丈の朱色の玉垣を三方に廻らし、各殿内に神体はなくサカキが置かれていたという。
北から第一殿、第五殿、第八殿の前の3箇所に鳥居が設けられていた。
八神殿は延喜式神名帳に「御巫祭神八座」と記載され、大社に列している。
応仁の乱で焼失してからは宮中では再建されず、江戸時代に吉田家が吉田神社境内に、白川家が邸内にそれぞれ八神殿を創建して宮中の八神殿の代替としていた。
明治維新により神祇官が再興され、明治2年(1869年)に神祇官の神殿が創建されて遷座祭が行われた。
この際、八神殿の八神だけでなく、天神地祇と歴代の天皇の霊も祀った。
それまで歴代の天皇の霊は黒戸で仏式で祀られていたが、これに伴い黒戸は廃止された。
明治5年9月、神祇官は宣教のみを行うこととなり、八神殿は神祇官から宮中へ遷座、歴代天皇の霊は宮中の皇霊殿へ移された。
同年10月、八神殿の八神を天神地祇に合祀し、「八神殿」の名称を廃して「神殿」に改称した。
神殿は皇居の宮中三殿の一つである。
また、八神のうち大宮売神については、神祇官西院の故地に大宮売神を祀る小祠が作られている。