別天津神 (Kotoamatsukami)
別天津神(ことあまつがみ)は、古事記において、天地創発の時にあらわれた五柱の神 (神道)を云う。
古事記上巻の冒頭では、天地開闢 (日本神話)の際、高天原に以下の三柱の神(造化の三神という)が、いずれも「独神」(対となる夫婦神を持たない神)として成って、そのまま身を隠したという。
天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)
タカミムスビ(たかみむすひのかみ)
カミムスビ(かみむすひのかみ)
その次に、国土が形成されて海に浮かぶくらげのようになった時に以下の二柱の神が現われた。
この二柱の神もまた独神として身を隠した。
ウマシアシカビヒコヂ(うましあしかびひこぢのかみ)
天之常立神(あめのとこたちのかみ)
これら五柱の神を、天津神の中でも特別な存在として「別天津神」と呼ぶ。
別天津神の次に神世七代の神が現れた。
最も初期に誕生し、その神性も特別扱いされる別天津神は、本来ならば天照大神(あまてらすおおみかみ)を凌駕するはずである。
天照大神を高天原の最高神であるとし、またその子孫であると主張することによって自らの王権を権威付けたい天皇、ひいては朝廷にとって、これはいかにも都合が悪い。
この矛盾を解消するために、古事記・日本書紀編纂の過程において別天津神は隠れたことにされた、と考えることができるだろう。
つまり、存在はするが影響力は持たない“別格”としたのである。
ちなみに、伊弉諾尊(いざなきのみこと)は素盞嗚尊(すさのおのみこと)を黄泉の国へ追放した後に身を隠しているし、伊弉冉尊(いざなみのみこと)は天照大神が生まれる前に亡くなっているため、やはり天照大神の最高神としての地位を脅かすことはない。
出現表
各書の出現表である。
なお古事記5柱を含むまでの順で国常立尊以下は省略した。