疱瘡神 (Hoso Kami)

疱瘡神(ほうそうがみ、ほうそうしん)は、疱瘡(天然痘)を擬神化したもので、疫病神の一種である。
疱瘡神は貧乏神と同様に、破れ団扇を片手にぼろ衣を纏った老人体に描かれる事が多い。

ワラの船に乗ってどこからともなく現れ、人間の夢の中に入り込んで取り憑くとされる。
この疫病神に取り憑かれてしまった者は疱瘡や麻疹などの悪病に罹り、高熱を出してその多くが死んでしまうとされる。

疱瘡神は犬や赤を苦手とするという伝承があるため、「疱瘡神除け」として張子の犬人形を飾ったり、赤一色で描いた鍾馗の絵をお守りにするなどの風習を持つ地域も存在した。
また祀りもてなす事で疱瘡神に手加減をしてもらい、災厄を軽く抑えようとする風習(疱瘡神送り)をする村も多かった。

疱瘡神は庚申塔のように村のはずれに石塔を立てて祀られる事が多い。
かつて疱瘡にかかった者やその家族の多くは、少しでも疱瘡の苦しみを軽くしてもらおうと、これらの石塔に祈りをささげていたが、種痘の普及により天然痘が激減すると、それにともないこうした風習も廃れていった。

さらに戦後は道路拡張や宅地造成の邪魔とされ、周辺の寺社に移設されたり、破却される例も増えた。

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