長押 (Nageshi (a horizontal piece of timber))
長押(なげし)とは、日本建築に見られる部材で、柱を水平方向につなぐもの。
普通、長押と呼んでいる住宅などの和室にあるものは特に内法長押(うちのりなげし)という。
寺院建築では和様建築、住宅などでは書院造の特徴になっている。
柱同士の上部などを水平方向につなぎ、構造を補強するために、柱の外側から打ち付けられたもの。
古代の寺院建築では部材も厚く、本来の構造的な意味合いが強かった。
住宅では次第に部材も薄くなり、構造的な意義は乏しくなり、もっぱら装飾的な部材になった。
鴨居の上から被せたり、柱間を渡するように壁に沿って取り付けられる。
法隆寺をはじめ奈良時代以降の寺院建築にも使われている。
鎌倉時代に中国から伝わった様式である大仏様、禅宗様では見られないため、和様の特徴になっている。
神社建築でも用いられる。
住宅建築は、『源氏物語絵巻』などに見られる寝殿造にも見られ、書院造では必ず長押を打つ。
茶室には用いられないため、その影響を受けた数寄屋造りでは省略される。
長押のせいの大きさは柱寸法を基準として決められることがあり、その8~9割のせいを持つものを本長押、6~7割のものを半長押等という。
現在では衣紋掛けやフックを手軽に吊るせるように室内に取り付けられた横木になってしまっているが、本来は物を掛けるための部材ではない。