末川記念会館 (Suekawa Memorial Hall)
末川記念会館(すえかわきねんかいかん)は、京都府京都市中京区に本部を置く学校法人立命館の施設である。
概要
1983年11月、京都市北区の立命館大学衣笠キャンパスに完成。
民法学の大家で立命館大学の名誉総長でもある故・末川博博士の業績を記念して建てられた。
建設費用は、校友、教職員、各界有志らの寄付による。
館内には、末川博士の社会的・学問的業績、遺品などを展示する「メモリアルルーム」のほか、京都地方裁判所で1928年から15年にわたって実際に使われていた陪審法廷が「松本記念ホール陪審法廷」として移築され、1999年4月より無料で一般に公開されている。
また、講義室では、1946年3月31日に開始された市民向け大学講座「立命館土曜講座」が現在でも毎週土曜日に一般向け講座として開講されている。
このほか会館内には、「立命館大学百年史編纂室」、「レストラン・カルム」、「白川記念東洋文字文化研究所」などが併設されている。
記念会館竣工に際し記念講演が開催されているが、その内容は後に「未来をもとめて - 末川記念館竣工記念講演集(1985年、立命館大学末川記念会館事務局編)」にまとめられ出版されている。
館内施設
末川博メモリアルルーム
記念館1階に位置し、博士の業績を記した展示パネルが掲げられているほか、生前に愛用した品、主要著作、掛け軸、書画、写真などが展示されている。
また生前の様子や肉声を収めたビデオ映像を観ることもできる。
ルーム内には、自宅書斎および応接室の様子を再現した実物大のセットもある。
末川記念会館講義室
記念館1階西側にある講義室は、最大185名を収容できる中型の講義室で、シンポジウムや講演会、説明会のほか、立命館土曜講座の会場としても利用されている。
講義室前ホールには、末川博士の二女・窪田洋子氏が描いた油絵「父の愛した『テオドシウス法典注釈書』」が展示されているが、これは博士ががフランス留学時代に現地の古書店で購入し愛蔵していた1664年版の「テオドシウス法典注釈書」を描いたもの。
法典注釈書の実物は、立命館大学図書館に保管されている。
松本記念ホール陪審法廷
記念館2階西側にある「松本記念ホール陪審法廷」は京都地方裁判所で実際に使われていた「15号法廷」を移築したもの。
1928年に完成し、陪審法が停止される1943年まで合計6件の審議に使われた。
当初、陪審法廷は取り壊しが決まっていたが、立命館大学校友の松本仁介氏の寄付により、末川記念会館へ完全移築が実現されることとなった。
法廷内は、つり下げ式の照明装置やアーチ型天井など、ヨーロッパの伝統的な建築様式と、日本古来の木造建築様式とが融合した重厚で特徴的なデザインとなっている。
また、判事席の横、同じ高さに検事席が設けられているに対し、弁護人席が一番低い位置に設けられているなど、当時の司法制度の特徴を端的に表わすつくりとなっている。
陪審員席は12名分が設けられており、ほかに被告人席、書記席、傍聴人席が設けられている。
このほかに日本に現存する陪審法廷は、2001年に桐蔭横浜大学に移築された横浜地方裁判所の「特号法廷」のみである。
松本記念ホール陪審法廷は、学生をはじめ一般にも広く解放され、模擬裁判の授業や、シンポジウムなどにも利用されている。
白川静記念東洋文字文化研究所
立命館大学OBで、文化勲章受章者でもある故・白川静立命館大学名誉教授によってなされた東洋文字文化研究の研究成果を広く一般社会に普及させるとともに、さらなる研究を進める目的で設立された研究所。
文化事業、学術研究事業をその二本柱としている。
施設概要
地下1階地上3階建 延2,518.81m2
竣工年月日 1983年11月
地階 レストラン「カルム」