たたき (Tataki)

たたきとは、主に魚を料理するときの調理法である。
一般的には2つの大きく異なった調理法を指す。

焼くたたき

食材をブロック状に切り、数本の串を打って火の上に翳す。
表面を軽く焼く程度にとどめ、中には火を通さない。
これを切り分け、ハーブや調味料をつけて食べる。

火であぶり、刺身状態にした鰹に、タレをたたくようにし、タレを馴染ませたことが「たたき」の由来。
手を皿のようにしてタレを入れて、タレを指の隙間から滴り落とす。

この方法で調理する食材としては、魚の場合ほぼカツオに限られる。
しかし、マグロや鮭、うつぼ料理うつぼのタタキで作られる場合もある。
特にカツオは傷みが早く、表面を炙ることにより殺菌効果が期待出来る。
カツオのたたきは、四国、九州、紀州、遠州など鰹節の産地が本場として有名である(鰹のタタキ参照)。
市販品の中には、焼く代わりに油通ししたものもある。

家庭ではコンロの火で焼くことが多い。
しかし、藁を燃やした火やマツ葉を燃やした火、または炭火で焼くと、ガスの臭いがつかず独特の香ばしさがつき、より美味しい。
カツオの場合、皮の方を先に焼くのがきれいに焼き上げるコツである。
また、焼いた直後に氷水につけるなどして急速に冷やすと身が引き締まっておいしくなる。

カツオの他には、牛肉で作ることもある。
ローストビーフの内部の肉はピンク色のため、二つの料理に類似性を見る人もいる。
しかし、ローストビーフはオーブンの特性により実際は内部まで火が通っている。
同様に馬肉や新鮮なニワトリのササミでも作られる。

食べる際には、ショウガ、ニンニク、大根おろし、ネギなどが薬味として用いられる。
すだちなどの柑橘類の汁で酸味をつけた醤油たれやポン酢をつけることが多い。
焼いた食材に薬味をまぶしてから、包丁の腹などで叩いて身をしめることもある。

細かく切るたたき

食材を1-2cm角程度の大きさに切り、香草や味噌などを乗せる。
それらを混ぜながら包丁で叩くよう細かく切り刻む。
ときには2本の包丁を交互に振り下ろし、細かく切り込むこともある。
食材によってはよく刻んだ方がおいしい場合と刻みすぎない方がおいしい場合がある。

この方法で調理する食材としては、カツオ、アジ、イサキ、トビウオ、カマス、イワシなどが用いられる。
(鰹は→鰹のタタキ参照)

香草としては、ネギ、ショウガ、シソの葉(大葉)、ニンニクなどが用いられる。
切り刻むときや食べるときに醤油をたらすことが多い。

切り刻むときに味噌を混ぜ、若干の粘り気がでるまでよく刻んだものは「なめろう」と呼ばれる。

魚ではなく、山菜を粘り気がでるまで細かく切り刻むという料理もある。
この場合は香草などは混ぜない。
特にミズをたたきにしたものは、秋田県や岩手県などの郷土料理として知られている。

アイヌの伝統料理には、サケの氷頭(ひず:頭の軟骨)やエラなどをたたきにし、白子とネギを混ぜて塩で味付けをするという「チタタプ」という料理がある。
チタタプとはアイヌ語で「たたかれるもの」という意味の言葉である。

その他

ゴボウやキュウリなどを棒で叩いて組織を崩し、食べやすくすることも「たたき」と呼ばれることがある。

[English Translation]