可江集 (Kakoshu)

可江集(かこうしゅう)は市村羽左衛門 (15代目)が自らの当たり芸を十二種選定したもの。

いわゆる歌舞伎の家の芸であるが、十五代目市村羽左衛門没後思わしい後継者に恵まれず、家系は実質上絶えてしまったこともあって、市村家の芸であることが強く意識されることはあまりない。
また型としても市川団十郎 (9代目)や尾上菊五郎 (6代目)のものとそう大きく変わるところはないため、むしろ十五代目市村羽左衛門の稀有な個性と仁によって生みだされた特色ある役を列挙した「十五代目市村羽左衛門の十八番」的な性格のほうが濃い。

役としては白塗りの二枚目立役または若衆役かそれに類するものであること、調子のよい口跡を聞かせる役が多いこと、世話ものでは江戸前の粋でいなせな風情を見せる役が多いこと、丸本歌舞伎が少ないことなどが特徴。

石切梶原(いしきりかじわら)

丸本歌舞伎。
本外題「梶原平三誉石切」(かじわらへいぞうほまれのいしきり)。
もとは長谷川千四・文耕堂作「三浦大助紅梅革勺」(みうらのおおすけこうばいたづな)の内の梶原平三試名剣星合寺の場を独立させたもの。
ただし十五代目市村羽左衛門は「名橘誉石切」(なにたちばなほまれのいしきり)として演じることが多かった。
持役はむろん梶原平三景時である。

筋は、平家全盛の世にひそかに源氏に心を寄せる梶原が研師の親子から源氏ゆかりの名刀を手に入れ、後日の挙兵を心待ちにするというもので、刀を買おうとする平家方の侍俣野五郎をあしらう様や刀の目利き、試し切りなどが主な為所となる。
ほとんど一人舞台と言ってもいい作品で、あくまで十五代目市村羽左衛門の颯爽たる容姿と口跡を見せるために上演されることが多かった。

盛綱陣屋(もりつなじんや)
丸本歌舞伎。
本外題「近江源氏先陣館」(おうみげんじせんじんやかた)。
近松半二らの合作。
十五代目市村羽左衛門の持役は佐々木四郎盛綱。

直侍(なおざむらい)

切られ与三郎(きられよさぶろう)

お祭り左七(おまつりさしち)

富樫(とがし)

実盛(さねもり)

助六(すけろく)

権八(ごんぱち)

御所五郎蔵(ごしょのごろぞう)

いがみの権太(いがみのごんた)

勘平(かんぺい)

[English Translation]