干し柿 (Hoshigaki)

干し柿(ほしがき)は、ドライフルーツの一種で、カキノキの果実を乾燥させたもの。
ころ柿(枯露柿、転柿、ころがき)、白柿(しろがき)とも呼ぶ。
日本、朝鮮半島、ベトナムなどで作られている。
日系移民によってアメリカ合衆国のカリフォルニア州にも干し柿の製法が伝えられた。

へたに柄と枝の一部の付いた柿の実の果皮を剥き、枝と柄のT字型の部分を紐で結ぶ。
このT字型の部分を撞木と呼ぶ。
1本の紐に数個から十数個の皮を剥いた柿を結んで(連という)、雨を避けるため、柿を結んだ紐を家の軒先など屋根の下に吊るして、乾燥させる。
この製法から、吊るし柿(つるしがき)とも呼ばれる。

干し柿に用いられる柿は渋柿であり、乾燥しやすいよう、果実が小型の品種が用いられることが多い。
乾燥させることにより、渋柿の可溶性のタンニン(カキタンニン)が不溶性に変わって(渋抜きがされて)渋味がなくなり、甘味が強く感じられるようになる(その甘さは砂糖の約1.5倍とも言われる)。
風味や食感が乾燥させずに食べる甘柿とは大幅に異なる。
そのため、生食される甘柿が苦手でも干し柿は平気で食べる人もいるし、逆に甘柿が好きでも干し柿が苦手な人もいる。

甘柿は渋柿と違って渋抜きをせずに食べられる。
しかし、糖度そのものは渋柿のほうがはるかに高いため、甘柿を干し柿にしても渋柿のようには甘くならない。

表面に白い粉が付着していることが多いが、これは柿の実の糖分が結晶化したものである。

干し柿に用いられる渋柿の主な品種には、市田柿(長野県伊那谷(伊那盆地)産)や紅柿(山形県上山市原産)、堂上蜂屋(岐阜県美濃国原産)、三社柿(富山県福光町)、甲州百目などが挙げられる。

かつてはそのまま乾燥させたため種が入っていて当たり前であった。
しかし、現在は種抜き後に乾燥させる種無しの干し柿もある。

干し柿のうち、硫黄で燻蒸し、乾燥させた後も柔らかく果肉に水気が感じられるものを、あんぽ柿という。

撞木を結ぶ紐は最近ではビニール製が主流である。
しかし、元来はシュロの葉、トウモロコシの実の外皮、アサなどを使用した。

他の乾燥食品と同様に古くは冬の保存食であったと伝わる。

栄養

柿にはビタミンCが豊富で、大きい物ならば一個で一日に必要な量は補給できてしまう。
が、ビタミンCは干し柿にすると無くなってしまい、その代わりにビタミンAが干し柿にする前の二倍となる。

さらに干し柿には食物繊維も豊富である。

ただ食べ過ぎるとタンニンの作用で鉄分の吸収が妨げられるため貧血の人にはおすすめできない。

一日に1~2個がよいとされる。

さらに柿自体に悪酔い防止作用があり、二日酔いの時によく熟した甘柿を一つ食べると気分が良くなるとされている。

[English Translation]