干物 (Dried Fish)
干物(ひもの、英語 Dried fish)とは、魚などの魚介類の身を干した加工食品。
干すことで表面に固い膜を作り、保存性が高まる。
また、独特の食感とそれに伴う食味も形成される。
身を開き、内臓を取り除いてから干す加工法が一般的だが、いわしなど小型の魚はそのまま干して「丸干し」として食用に供することもある。
魚が豊富に捕れる地域で行われる加工法であり、日本のみならず世界各国で作られている。
日本ではご飯、味噌汁、漬物、卵焼き、海苔と並んで和食の朝食には欠かせない一品である。
また全国の海辺では土産品としてよく使われている。
同じ魚介類の乾燥品としては乾物もあるが、乾物は身の一部または全てを完全乾燥させて作られている。
干物は風通しを特に重要視するため、乾燥した空気が吹き込む冬場の物が美味しいとされている。
また、夏場は日光に当てると煮立ってしまい美味しさを損ねる。
この為日陰干しが美味しいと言われている。
実際に天日干しと言っても1時間程度干すだけであとは影にて干す事が多い。
本稿の写真では天日で干しているが、その時間も短時間で、干したあと1時間程度で直ぐに販売される。
干物の種類
素干し
昔からの干物である。
保存性を重視し細菌類の繁殖を抑えるため、長い日数をかけて干し、かなりの水分を抜いていたが、風味が抜け身が硬くなり食感が悪くなる欠点がある。
スルメ-イカ(「あたりめ」とも呼ぶ)
生干し(若干し)や一夜干し
軽く水分を抜くだけにとどめたもので、保存が効かないため、冷蔵庫での貯蔵が必要となっている。
乾燥度を上げたものは上乾○○などと呼ばれる。
シシャモ、コマイ、カレイ類など。
丸干し
内臓を取らずに生干ししたもの。
目刺
開き干し
内臓を取り開いて干したもの。
サンマ、アジ、サバ、ホッケ、カマスなど。
調味干し
調味液に漬け干したもの。
くさや-ムロアジ
味醂干し
味醂に漬け込み、干したもの。
小魚を開いて作った味醂干しのことを桜干しとも言う。
寒風干し
潮風に当てて干したもの。
鮭とば。
塩干し
塩漬けにしたものを干したもの。
焼き干し
焼いて水分を抜いたもの。
凍干し
乾物と同じ方法で何度も凍結させて乾燥させたもの。
煮干し
煮てから乾燥させたもの。
しらす干し。
イワシ
- 主にカタクチイワシを使う。
主な干物
イワシ
- 主にカタクチイワシを使い、しらす干しや煮干し、目刺、ゴマメにする。
からすみ
- ボラの卵巣を加工したもの。
数の子
- ニシンの魚卵。
塩蔵ではなく乾燥させたものがある。
棒だら
鯵
- 内臓を取り除いて開き干しにしたり、小型のものは丸干しにも
鯖
- 2枚卸しにした身を乾燥させる。
文化干しにも。
さんま
- 開き干しにしたり、小型のものは丸干しにも。
稚魚の丸干しは特に「針子」(ハリゴ)ともいう。
キンキ
- キチジ、メンメとも。
開き干しにする。
干物の干し方
ほとんどの干物では天日乾燥が基本であり、最近では虫付きを防ぎ乾燥を早めるため、つり下げた魚を回転させる干し台が作られている。
工場など大量生産などを行う所では人工乾燥機が使われており、生干しでは水分を保つため低温の乾燥機を使うこともある。
なお乾燥する時に魚をセロファンで包む方法は、特別に文化干しと称されている。
一般的な干物の作り方
魚を頭まで腹開きあるいは背開きにし、内臓を取り除いて水洗いする。
海水程度の塩水に一晩漬けるか、もしくはそのまま、半日ほど風に当たるよう日干しにする。
外国の干物
アジア、アフリカ、ヨーロッパなど、漁業の盛んな地域では、さまざまなタイプの干物が製造されている。
咸魚(ハームユー(広東語)、シエンユー(北京語))
- 中華人民共和国のマカオや広東省などで作られる。
塩の中に直接漬けた後に、天日干ししたもので、塩分が強い。
バカラオ(Bacalhau)
- ポルトガルのタラの干物。
グラタン風など、各種料理に再加工される。
同様のものがイタリアではバッカラ(Baccalà)、スペインではバカラオ(Bacalao)の名で作られている。
タンバジャン
- セネガルのボラ科の干物。
一昼夜塩漬けしたのち天日で乾燥させる。