庵点 (Ioriten)

庵点(いおりてん)「&12349」は、日本語で、歌のはじめなどに置かれる約物のひとつ。
英語ではpart alternation markと呼ばれ、UnicodeではU+303Dのコードを、JIS X 0213では1-3-28のコードを持つ。
古来能の謡本や連歌などにおいて目印として使われていた。
歌記号ともいう。

形態については、図のように山が二つあるものを庵点、山が一つの「へ」のような形のものを合点(がってん)と呼ぶという説もある。

謡曲本(謡本)においては、能職掌であるシテ、ワキ、地謡などの役割がかわるところで、語句の頭に使われる。
少なくとも明治時代以降の謡曲本では「へ」の字型のものが使われ、2008年現在もそれを踏襲している。
「庵点」と「合点」の使い分けがされていたのか、同じものを「合点」「庵点」と呼んでいたのかは、明らかではない。

現代文では、散文中に歌詞を記述する際に、歌詞部分の冒頭に配置して散文との区分とする用法が一般的。
ただし、コンピューター上では、庵点が文字コード規格のJIS X 0208に含まれなかったことから、World Wide Webや電子メールなどにおいて、JIS X 0208に含まれている「音符 (曖昧さ回避)」が歌記号として用いられることが多い。

庵点は近代になって『「』(始め鉤括弧)の元になったといわれている。

[English Translation]