手締め (Tejime)
手締め(てじめ)とは日本の風習の一つで、物事が無事に終わったことを祝って、その関係者が掛け声とともにリズムを合わせて打つ手拍子。
手打ちともいう。
祭りや冠婚葬祭などの式典、商談や株主総会などの終わりに行われる。
手締めの音は「シャンシャン」と表現される。
特に質疑応答もなく短時間で終了する株主総会は、参加者は手締めしかしないということで「シャンシャン総会」と揶揄される。
概要
「手打ちによって締める」が語源である。
なお、関西では「手締め」のことを「手打ち」と表現する。
手締めの主旨は、行事を取り仕切った者が、行事が無事に終了したことを協力者に感謝することである。
そのため、来賓の場合、仮に音頭を取ることを依頼されたとしても、断ることが筋である。
江戸締め
手締めは地方により、そのリズムや回数、掛け声が異なる。
大きく分けて江戸締めと大阪締めに分けられる。
中でも、江戸締めは全国的に広く行われ、最も基本的な手締めの形態である。
江戸締めには一本締めと三本締めがある。
拍数の「3回・3回・3回・1回」は3回の拍が3回で九になり、もう1回手を打つと九に点が打たれて「丸」になり、「丸く納まる」の意味になるからとも言われている。
また、はじめと間に「イヨー」「ヨッ」「もう一丁」などと掛け声をかけ、最後に拍手する。
「イヨー」は「祝おう」が転じたものとされる。
一本締め
3回・3回・3回・1回手を打つ
一般的な流れ
「お手を拝借」
「イヨーオ」 タンタンタン タンタンタン タンタンタン タン
「ありがとうございました」パチパチパチ…(拍手)
三本締め
一本締めを3回行う。
一般的な流れ
「お手を拝借」
「イヨーオ」 タンタンタン タンタンタン タンタンタン タン
「イヨー」 タンタンタン タンタンタン タンタンタン タン
「イヨー」 タンタンタン タンタンタン タンタンタン タン
「ありがとうございました」パチパチパチ…(拍手)
一丁締め
一本締めの変形として1回だけ手を打つ一丁締めもある。
これは「一本締め」と混同されるが、一丁締めは略式の手締めである。
関東一本締めと呼ぶ人もいるが手締めの「一丁締め」を知らなく、混同している方が多い。
一般的な流れ
「お手を拝借」
「イヨーオ」 タン
「ありがとうございました」パチパチパチ…(拍手)
各地の手締め
西日本では大阪締めが広く行われるほか、各地に独自の手締めが行われている。
大阪締め
大阪締めは大阪を中心に行われている手締めである。
大阪では「手打ち」という。
一般的な流れ
「打ーちまひょ」 パンパン
「もひとつせ」 パンパン
「祝うて三度」 パパン パン
「おめでとうございますー」パチパチパチ…(拍手)
博多手一本
福岡県福岡市の博多では、博多手一本と呼ばれる独自の手締めが行われる。
博多祇園山笠で行われるほか、福岡証券取引所の大発会・大納会、公私の式典、商談の成立などで行われる。
手一本には、後日異議を唱えないという含意がある。
一般的な流れ
「よー」 シャン シャン
「まひとつしょ」 シャン シャン
「祝うて三度」 シャシャン シャン
「まひとつしょ」は「もひとつ」、「祝うて三度」は「よーてさんど」あるいは「よてさん」とも発音する。
伊達の一本締め
伊達政宗ゆかりの手締めも存在する。
この手締めは「三国一の武将」たらんとする政宗の夢の実現の祈願を込め、「三国一」の三と一を掛けたものであり、家臣団の間で、いつからか会席においてこの手締めが行われるようになった。
政宗の長女・五六八姫の婚礼や、慶長18年(1613年)の支倉常長をはじめとする「慶長遣欧使節」の出帆のときもこの手締めが行われたといわれている。
江戸時代以降は、そのいわれから幕府に遠慮して公には行われなくなり、宮城県松島町の「円通院」に代々伝承された。
現在では仙台市内において「仙臺すずめ踊り」の祭連を中心に普及が始まっている。
一般的な流れ
「よー」 パパパン
「よー」 パン
その他
西関東の東京都多摩地区の西部(旧西多摩郡)、埼玉県西部(旧入間郡・旧秩父郡・旧比企郡・旧児玉郡等)、群馬県西部(旧多野郡・旧甘楽郡)の地域にも独自の手締めが行われる。
その1
ンタンタン タッタッタン タン
ンタンタン タッタッタン タン
ンタンタン タッタッタン タン
その2
ンタンタン タッタッタン タン タン
ンタンタン タッタッタン タン タン
ンタンタン タッタッタン タン タン
その3(武州川越締め)
タンタンタン タンタンタン タン
その4(秩父締め)
シャンシャンシャン シャシャシャン シャン