曜変天目茶碗 (Yohen Tenmoku Tea Bowl (spotted Tenmoku tea bowl))
曜変天目茶碗(ようへんてんもくちゃわん)は、天目茶碗のうち、最上級とされるもの。
略して曜変天目と呼ばれることもある。
なお、「曜変」は「耀変」と書かれることもある。
概要
曜変天目茶碗は、現在の中華人民共和国福建省建甌市にあった建窯で作られたとされる。
現存が確認されているものは世界でわずか4点(または3点、後述)しかない。
そのすべてが日本にある。
3点が国宝、1点が重要文化財に指定されている。
いずれも南宋時代の作とされるが、作者は不詳である。
形状、大きさがいずれも酷似している。
そのことから、同一人物の作ではないか、とも言われる。
本来、「曜変」は「窯変(容変)」と表記される。
陶磁器を焼く際の予期しない色の変化を指す。
その星のような紋様・美しさから、「星の瞬き」「輝き」を意味する「曜(耀)」の字が当てられるようになった。
この様な紋様が現れる理由は、未だに完全には解明されていない。
また、この紋様が意図的に作り出されたものか、偶然によるものかは議論がわかれている。
静嘉堂文庫蔵
稲葉天目の通称で知られ、曜変天目茶碗の中でも最高の物とされる。
元は徳川将軍家の所蔵であった。
徳川家光が春日局に下賜した。
そのことから、その子孫である淀藩稲葉氏に伝わった。
そのため、「稲葉天目」と呼ばれるようになった。
その後、三菱財閥総帥の岩崎小弥太が入手した。
だが、岩崎は「天下の名器を私如きが使うべきでない」とした。
生涯使うことはなかったという。
現在は静嘉堂文庫所蔵。
国宝。
大きさ
高さ:6.8cm
口径:12.0cm
高台径:3.8cm
藤田美術館蔵
水戸徳川家に伝えられたもので、曜変の斑紋が外側にも現れている。
1918年に藤田財閥の藤田平太郎が入手し、現在は藤田美術館所蔵。
国宝。
大きさ
高さ:6.8cm
口径:12.3cm
高台径:3.8cm
大徳寺龍光院蔵
大徳寺塔頭の龍光院 (京都市北区)に伝わったもの。
国宝。
国宝とされる三椀の曜変天目茶碗のうち、最も地味なものである。
だが、幽玄な美しさを持つとされて評価が高い。
通常非公開であり、鑑賞できる機会は稀である。
大きさ
高さ:6.6cm
口径:12.1cm
高台径:3.8cm
MIHO MUSEUM蔵
加賀藩主前田氏に伝えられたもの。
重要文化財。
大佛次郎が所蔵していたもので、現在はMIHO MUSEUM所蔵。
なお、この天目茶碗を「曜変」と呼ぶかどうかは議論がある。
「油滴天目ではないか」とする意見もある。
大きさ
高さ:6.6cm
口径:12.1cm
高台径:3.9cm