玉露 (Gyokuro (refined green tea))
玉露(ぎょくろ)は日本茶の一種。
概要
製造法上の分類としては煎茶の一種であるが、栽培方法に特徴がある。
すなわち、玉露の原料となる茶葉は、収穫の前(最低二週間程度)被覆を施される。
これにより、煎茶の旨味の原因とされるアミノ酸が増加し、逆に渋みの原因とされるカテキン類(いわゆるタンニン)が減少する。
また、被覆により特徴的な香り(かぶせ香)が生ずる。
このような栽培方法は碾茶と同様であるが、すでに安土桃山時代に行われていたとの記録がある。
由来
「玉露」の名前は、製茶業者山本山の商品名に由来。
天保6年(1835年)に山本山の六代山本嘉兵衛(徳翁)が、宇治市小倉の木下家において茶葉を露のように丸く焙り、これが「玉露」の原型となった。
現在は棒状に焙っている。
これは明治初期に製茶業者の辻利右衛門(辻利)によって完成されたものである。
特徴・品種
玉露は日本の煎茶として高級のものと考えて良いが、品評会等では一般的な煎茶とは別のものとして扱われる(煎茶の狭義と広義の説明を参照)。
飲用に際して、玉露の滋味と香気の特徴を活かすには、60℃程度の低温(茶葉によっては40℃前後まで温度を下げる場合もある)の湯で浸出することが重要である。
玉露はその甘みが特徴であり、高温の湯で淹れると苦味成分まで抽出してしまう。
茶木の品種についても、煎茶をはじめとする日本茶の多くはヤブキタが使用されているが、玉露は、アサヒ、ヤマカイ、オクミドリ、サエミドリなど、個性の強い品種が使われることが多い。
玉露の呼び名自体に特に規定があるわけではなく、特に茶飲料の「玉露入り」に配合されている茶葉は、棚を作らず化学繊維で茶の木に直接カバーを掛け、かつ被覆日数の浅いかぶせ茶に近い物である場合も多い。
最大の玉露産地は福岡県八女地域である。
そこでは、茶樹の枝を剪定をせず、芽を自然に伸ばしている。
稲藁で、茶の木と距離を取った棚から被覆する。
しごき摘みで一心二葉を手摘みする。
茶葉については、「伝統本玉露」と呼んで区別している。
全国茶品評会に出品されている高品質の玉露は、全て伝統本玉露である。
その他
良く似た商品名として佐賀、長崎、鹿児島等で作られる「玉緑茶(たまりょくちゃ。グリ茶とも)」という物があるが、これは製造工程に「精揉(形をまっすぐに整える)」が存在しない。
茶葉が丸みを帯び、淹れた煎茶の味に渋みが少ない茶葉の事であり、玉露とは関係ない。