粕漬け (Kasuzuke (pickling fish or vegetables in sake lees))
粕漬け(かすづけ)は、食材を酒粕またはみりん粕に漬けること。
また、その漬けものである。
概要
食材は野菜、果実、魚類、魚卵などである。
野菜の粕漬けは香の物として重宝され、「奈良漬け」という。
酒粕に漬けたものは味が淡泊であり、みりん粕に漬けたものは濃厚な甘味がある。
さらに甘いのを好む向きには砂糖を加える。
酒粕は圧搾の不十分な湿ったものがよく、乾いたものは酒を含むのが少ないから味が劣る。
とはいえ酒気の強いのが嫌いな向きにはこちらがよい。
これに塩、砂糖、酒などをくわえてゆるめ、容器に固く詰め込み、蓋をして目張りをして、冷所に置き、よく熟れた粕に漬ける。
食材はそのまま漬けると粕の中に水分が出て酸敗するおそれがあるから、一度塩漬けしてから漬け、あるいは少量の塩をふりしばらく置いてから、あるいは陰干しにしてから漬ける。
なまのまま、特に水分の多いものを漬ける場合は、ぬかと少量の塩をまぜたのを容器の底に敷いて、その上に多数の小さな穴の開いた中蓋を置いて、水分が下に落ちるようにする法がある。
食材は相互に、また容器に接しないようにその間に十分に酒粕を詰めて固く漬け込む。
ひとつきから、みつきで漬けあがる。
魚肉は塩をさっとふって乾し、粕に塩を加えて漬ける。
魚卵の場合は乾さなくてよい。