能楽師 (Noh Actor)
能楽師(のうがくし)は職業的に能楽を演じる人を指し、能役者ともいう。
能楽師には、シテ方、ワキ方、狂言方、囃子方(笛方・小鼓方・大鼓方・太鼓方)の職掌があり、特にワキ方・狂言方・囃子方を総称して三役ともいう。
また各方はそれぞれに流儀があり、他の職掌を兼務することは一切ない。
(詳細は能職掌・能流派を参照)
また、「狂言師」という呼称が「能楽師」と並列して使われることもあるが、元来、狂言は能楽のジャンルのひとつであり、正式には「狂言方の能楽師」である。
職業として能楽を行う者としての玄人の資格は各流儀によってまちまちであるが、現代においては各方各流儀とも玄人として承認した者は社団法人能楽協会に登録するという申し合わせがある。
そのために、実質的には能楽協会会員をもって能楽師ということができる。
また、能楽協会会員のうち一定の技量を認められた者で構成される、社団法人日本能楽会がある。
日本能楽会は重要無形文化財「能楽」の総合認定を受けているため、日本能楽会への入会を認められた能楽師は、重要無形文化財総合認定保持者となる。
それ以外にも素人への謡曲教授などを行い、名誉師範(シテ方観世流)や教授嘱託(シテ方宝生流)など、流儀から一定の資格を得ている人々もいるが、あくまで素人としての称号であって、能楽界においては玄人(能楽師)として認識されない。