茶屋 (Teahouses)

茶屋(ちゃや)は、日本において中世から近代にかけて一般的であった、休憩所の一形態。

場所を提供するとともに、注文に応じて茶や和菓子を飲み食いさせる店舗として発達した。

茶店(ちゃみせ)とも称す。

現代の日本社会において茶屋はノスタルジアの対象であり、海外にあっては日本情緒の象徴の一つである。

そのため、観光を主とした演出上の目的から、これを再現した店舗および観光施設は数多く存在する。

概説

交通手段が徒歩に限られていた時代には、宿場および峠やその前後で見られた。
これらを「水茶屋」「掛け茶屋」と言い、街道筋の所定の休憩所であった。
立場にあれば「立場茶屋」と呼ばれていた。

また、茶の葉を売る店は「葉茶屋」と言う。

近松門左衛門の心中物『心中重井筒』などに出てくるような性風俗を売り物にする店は、当時「色茶屋」と呼ばれている。
その頃は単に「茶屋」と言う場合にはこの色茶屋を指していた。

このほかにも、「引手茶屋」「待合茶屋」「出会茶屋」「相撲茶屋」「料理茶屋」など、様々な名称の様々な営業形態の茶屋があった。

料理茶屋の中には、江戸時代に創業して現在も料亭として営業している店もある。

現代の日本では、主に観光地や名勝で営業しており、土産屋を兼業している場合も多い。

そのほか、「茶屋」という言葉が現代日本人に与える郷愁のイメージを屋号に採り入れ、「○○茶屋」とする飲食店も目立つ。

茶屋を浮世絵に見る

名所絵(浮世絵による風景画)の中には茶屋を描いたものがいくつか見える。

最低限の物しか置いていない簡素な出茶屋もあれば、いかにも繁盛している様子の大きな茶屋もある。

歌川広重 『東海道五十三次』

1. 「袋井」(通称「袋井 出茶屋」) :「袋井宿」。
出茶屋が描かれている。

2. 「大津」(通称「大津 走井茶屋」) :「大津宿」。
名物「走井餅(はしりい-もち)」を売る茶屋が描かれている。

渓斎英泉および歌川広重 『木曽街道六十九次』(実質、中山道六十九次)

3. 「木曽街道 板橋之駅」 : 「板橋宿」。
渓斎英泉 画。
出茶屋を描く。

4. 「木曽街道 上尾宿 加茂之社」 :「上尾宿」。
渓斎英泉 画。
神社近くの立場茶屋。

5. 「木曽海道 高崎」 :「高崎宿」。
歌川広重 画。

6. 「岐阻街道 奈良井宿 名産店之図」 :「奈良井宿」。
渓斎英泉 画。
初めは峠道の険しさから切実に求められた立場茶屋であったろうものが、店としてずいぶん賑わって見える。

地名に名を留める茶屋

二軒茶屋(京都市左京区。三重県伊勢市神久。鹿児島県鹿児島市。ほか)
三重県伊勢市神久。
鹿児島県鹿児島市。
ほか)

萩之茶屋(大阪市西成区)

天下茶屋(大阪市西成区)

三軒茶屋(東京都世田谷区)

茶屋坂(東京都目黒区)

茶屋町(梅田阪急地区(芝田一丁目・茶屋町・角田町)、岡山県茶屋町 (倉敷市))

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