金剛流 (Kongo school)
金剛流(こんごうりゅう)とは、日本の伝統芸能である能楽のうち、能のシテ方の流派の一つである。
現在の宗家は金剛永謹。
シテ方の五流の宗家の中で唯一京都在住である。
概要
法隆寺に仕えた猿楽座である坂戸座を源流とする流派で、坂戸孫太郎氏勝を流祖とする。
六世の三郎正明から金剛を名乗る。
華麗・優美な芸風から「舞金剛」、装束や面の名品を多く所蔵することから「面金剛」とも呼ばれる。
豪快な芸風で知られた七世金剛氏正は「鼻金剛」の異名を取り、中興の祖とされる。
しかし、室町から江戸期においては他流に押されて振るわず、五流の中で唯一独自の謡本を刊行することがなかった。
なお、江戸初期に金剛流から喜多流が分派している。
また幕末から明治にかけて活躍した金剛唯一は『土蜘蛛』の千筋の糸を考案したことで知られる。
1936年金剛右京の死去により、坂戸金剛家は断絶。
翌1937年、他の四流の家元の推薦により、弟子家筋である野村金剛家(京都金剛家)の金剛巌 (初世)が金剛流家元となり、宗家を継承。
近年の名人としては金剛謹之輔、豊嶋弥左衛門がいる。
井上流との関係
京舞井上流の家元、二世井上八千代は金剛流の舞を学び、井上流のその要素を取り入れた。
こうしたことから、金剛流は観世流の片山九郎右衛門家などと並び、井上流との関係が深い。
金剛流能楽師と井上流の舞い手が夫婦となっている例もある。