餡 (Bean paste ('an'))
餡(あん)あるい餡子(あんこ)とは、饅頭などの中に入れる具のことで、アズキをはじめとする材料を甘く煮た具や、でん粉を糊化した素材を指すことが多い。
概要
主にアズキを煮詰めた豆沙餡(小豆餡)を指すことが多く、後に他の豆などを煮た物も餡と呼ばれるようになった。
餡の味付けは、古くは塩で味付けした塩餡が一般的であったが、近世以降砂糖の庶民への普及とともに砂糖餡が一般化した。
さらに、餅の上にかけるものも餡というようになり、「あんかけ」などに使う、でん粉に水分を加えて加熱し、糊化したものも葛餡など、餡という言葉で呼ぶようになった。
逆に、餡と同じく、菓子の中に包み込まれる具であっても、ジャム、クリーム (食品)、チョコレート、ピーナッツバターなど、西洋風のものは餡とは呼ばれず、別のものと捉えられている。
中華料理では小麦粉などで作った皮の中身として包みこまれる具を指すが、一般的な菓子で使われているものについては、仏教寺院などで肉食禁があるため、アズキを煮たものを他の具の代用にし、それが広まったからとされている。
中国において、料理にかける餡は「芡 qiàn」といい、別の概念である。
小豆餡
- 饅頭などに入れられる最も一般的な餡であり、アズキの皮の状態および有無により種類が分かれる。
粒餡(つぶあん)・小倉餡(おぐらあん)
- 小豆を砂糖で煮詰めたもの。
小豆の粒が、鹿の斑紋に似ていることから、鹿といえばモミジ、モミジと言えば紅葉で有名な小倉山(京都)との連想から。
潰し餡(つぶしあん)
- 粒餡をつぶしたもの。
漉し餡(こしあん)
- 生餡に砂糖を加え練り上げたもの
晒し餡(さらしあん)
- 生餡の水分を飛ばして粉末にしたもの。
使う時は水分を加えて戻す。
白餡(インゲンまたは白アズキ)
- 小豆を用いた餡と比較して小豆色ではないため、この名称が付けられている。
粒餡と漉し餡があるが、後者が一般的。
饅頭の皮などにも使用される。
他の味付けや色を加えられ練り切りなどの下地にされることも多い。
ずんだ
- 枝豆の餡、宮城県と山形県の郷土料理。
村雨その他の名称
- 漉し餡に米粉を加えてそぼろ状に仕上げた物。
緑豆餡(リョクトウ)
芋餡、紫芋餡(サツマイモ)
栗餡(クリ)
鶯餡(エンドウ)
蓮の実餡(ハス)
黒胡麻餡、白胡麻餡(ゴマ)
ピーナッツ餡(ラッカセイ)
胡桃餡(クルミ)
冬瓜餡(トウガン)
棗餡(ナツメ)
バナナ餡(バナナ)
葛餡
- クズから取ったでん粉を煮溶かした物。
他の餡とは異なり具としてではなく、食材に絡ませて使用する(みたらし団子など)。
安価な物はジャガイモなどの澱粉が用いられる。
餡を使う菓子など
饅頭(最中・饅頭・月餅等)
餅(団子・あんころ餅・ぼたもち・安倍川もち等)
パン(あんパン・小倉トースト・ドーナツ等)
どら焼き
きんつば
春巻(中華人民共和国浙江省などの甘いもの)
かき氷
クレープ
今川焼き
たい焼き
あんまき
ままどおる
料理の餡
ここでは中身として皮に包まれる料理を挙げる。
餃子
焼売
春巻
中華まん
- いわゆる肉まん。