おしぼり (Oshibori (wet hand towels))

おしぼりは、日本では客向けに飲食店などで使用される、手を拭く道具である。
「(お)てふき」ともいう。
通常はひらがなで表記し、漢字を交ぜた「お絞り」「御絞り」と書くことはあまりない。
雀荘などでは、温かいおしぼりをアツシボ、冷たいおしぼりをツメシボと略すこともある。
なお、日本以外の国ではめったにおしぼりを見かけない。

一般的なおしぼり
最も一般的なおしぼりは、タオル地の布片を水に浸して絞り、適度に湿ったものとすることで、食事前や食事中などに食卓において手を拭くのに便利なように供したものである。
布片は巻くか畳むなどして細長く成形され、ビニールに密封されるかまたは「おしぼり受け」に乗せて出されることが多い。
受けを用いない場合であっても細長く成形されるが、弁当などに添付される場合にはその限りでない。

素材は布のほかに、紙製ないしは不織布によるものもある。
その場合には、使い捨てとして利用されることが多い。
紙製の場合にはアルコールや安定化二酸化塩素等を含有する液体を用いることもある。
布片を用いる場合と比べて、畳んで収納するとごく薄いパッケージに入れることができるために、弁当などの市販の食品に予め添付して喫食前の手の清拭に用いるよう供されることがある。
また、不織布をエタノールなどに浸したウェットティシュという製品が市販され、一般家庭やオフィスなどでおしぼりの代用として使われている。

接客サービスを提供するバーやクラブなどでは、ホステスやホストが客におしぼりを開いて手渡すのが一般的である。
客は手や顔などを拭き、おしぼりはそのままテーブルの「おしぼり受け」に乗せておき、手やテーブルが汚れた時に再び使う。
汚れたおしぼりは適宜交換される。
また客がトイレから出てくる際には未使用のおしぼりが手渡される。
トイレ後に使用したおしぼりは、テーブルに置かずに回収される。

温かいおしぼり、冷たいおしぼり
水分を与える際に、温水ないしはスチーム等により適度に温かい水分を布片にしみこませることによって、温かいおしぼりとしたり、水分を含ませた状態で冷蔵等することで夏季等に用いるのに適した冷たいおしぼりとしたりすることが可能である。
飲食店などでは通常電気式の温蔵庫ないし温冷庫などを使用する。
本来的には、手を拭くために供するものであるが、一部には手以外の身体の部位を含め拭くために用いられることもある。

また、理容室では髭剃などの際、髭や皮膚に水分を与え剃りやすい状態にする為に蒸しタオルが使われるが、これも広義の意味ではおしぼりの一種である。
また、この理容室の蒸しタオルを、後述する貸しおしぼり業者が取り扱っている事も多い。

貸しおしぼり(レンタルおしぼり)
飲食店などで大量に供する場合、自店にておしぼりを準備するのではなく、おしぼりを用意する業者によるレンタルが利用されることがある。

一般には、その場合薄い透明のビニール状(PEフィルム)の袋に収められて利用に供され、使用後は業者に返還される。
返還されたおしぼりは幾度もの洗濯を経て再び貸し出しに供される。
利用不可能になったおしぼりは廃棄されるがダスターとして専門の業者によりリサイクルされることも多い。
おしぼりの平均レンタル回数(つまり耐久性)はおよそ25回となっている。

また、貸しおしぼり業者の一部には企業舎弟として暴力団と繋がりを持ち、法外な価格で飲食店におしぼりを提供して「みかじめ料」を得ているものが見られ、犯罪組織の資金源の一つとして社会問題化している。

海外でのおしぼり
1959年より日本航空は国際線で離陸前の搭乗客におしぼりを提供し始めた。
このサービスが好評で、日本以外の航空会社でも国際線で熱いおしぼり出すようになった。
現在、離陸前におしぼりを提供するサービスは珍しくない。

また、海外でもおしぼり会社は、ニュージーランド()、オーストラリア()、イギリス()()にある。

[English Translation]