たい焼き (Taiyaki (Japanese pastry))

たい焼き(鯛焼き、たいやき、タイヤキ)は、小麦粉などを鯛の型に入れて焼いた日本の菓子で、主に日本で製造・販売・消費される。

概要

小麦粉、砂糖、重曹などからつくった生地を魚の鯛をかたどった焼き型に流し入れて焼き、片側に餡(小豆のアンコ)をのせて両側を合わせて焼く。
近年では餡の替わりにクリーム等を詰めたものも見られる。

今川焼きから派生した食べ物である。
今川焼きを元に、種々の動物などを模した形に焼いた菓子が生まれ、その中で縁起が良く庶民がなかなか食べられない鯛の形をしたものが特に優勢になり現在に至ったとされている。

たい焼きの焼型には、1匹ずつ焼き上げる型(「天然物」、「一本焼き」と呼ばれる)と複数匹を一度に焼き上げる型(「養殖物」)の2種類がある。
手間がかかる前者の焼型の使用は減少を続けているが、こだわりを持つたい焼き職人もいる。
天然物と養殖物は、焼き方が違い、また火の通り方が異なることから味も違う。

エピソード

しっぽ(鯛の尾部)まで餡が入っているかどうか、また入っているべきか否かについて、かつて文学者を巻き込んだ「たい焼き論争」とでもいうべき論争があった。
これは、小説家の安藤鶴夫が「たい焼きはしっぽまで餡が入っているのがおいしい」という趣旨の話を読売新聞に書いたところ、様々な賛否があったもので、

「もともとしっぽは、指でつまんで食べるための持ち手であり、最後に捨ててしまうものだったので、餡は無いのが正式である」
「甘い餡を食べた最後の口直しとするために、餡を入れるべきではない」
「しっぽの先まで餡が入っていないと、損をしたような気がするので、入れるべきだ」
「しっぽまで餡が入っていることで、値打ち感のアップなどの差別化が図れる」
などが代表的な意見とされる。

また、上記に関連して、頭から食べるのが正統かしっぽから食べるのが正統かという議論も繰り広げられた。

一匹ずつ焼かれた鯛焼きの「魚拓本」が装丁本で出版もされている(参考文献)。

麻布十番の「浪花家総本店」(1909年創業)、人形町の「柳屋」(1916年創業)、四谷の「わかば」(1953年創業)は、「東京のたいやき御三家」と呼ばれている。
このうち、「浪花家総本店」は『およげ!たいやきくん』のモデルといわれている。

長崎県対馬市佐賀(さか)の「永留菓子店」が製造・販売している「佐賀のたい焼き」の鯛は尾を曲げて全体が今川焼きのように丸い。

全体が四角いたい焼きもある。

シーラカンス研究で有名な福島県の水族館「アクアマリンふくしま」ではシーラカンス型のたい焼きを販売している。

観音駅銚子電鉄がおよげ!たいやきくんブームの時、鉄道事業の補填に始めた食品事業。
当時の食品事業の主力商品。

たい焼き=温かい食べ物という印象が強いが、秋田市の「大塚や」では焼いた後冷やしてから中身を詰める「冷やしたい焼き」なる商品を販売している。

普通のたい焼きの表面の色は表面の糖分による(メイラード反応)によるもので、澱粉(タピオカなど)に置換え、表面の色を白くしたもの(白いタイヤキ)も売られている。

[English Translation]