たこ焼き (Takoyaki (octopus dumplings))

たこ焼き(たこ焼、蛸焼、たこやき)は、小麦粉の生地の中にタコの小片を入れ直径3cm〜5cmほどの球に焼き上げた大阪発祥の料理である。

概要

おやつ・間食として食べる事が多い。
一般的に爪楊枝または箸を用いて食べるが、注文の際に「何本?」と訊かれて3個ほど竹串に刺したものが供されるところもあった。
現在ではそうした串たこ焼きは愛知県瀬戸市に販売する店がある。

店の数は大阪が圧倒的に多い。
たこ焼きと同時にお好み焼きを扱う店舗も多く、初詣や祭り等では屋台も多く現れる。
店内飲食のテーブル席を設けた店舗も多くあるが、ほとんどの店舗はテイクアウトができ、持ち帰り専門の店舗も少なくない。
また最近では商業施設のテナントとして、たこ焼き専門の店も多く進出している。
特に都市のスーパーマーケットでは、たこ焼きをつくる店が入り口付近に店を構え、買い物ついでに集客している。
この他、昭和時代から子供が多く集まる駄菓子店などでも焼かれている事があるが、そのような店は減少傾向にある。
「大阪ではたこ焼き用鉄板は嫁入り道具の一つ」と誇張したことが言われる程、大阪出身の家庭でのたこ焼き用の鉄板や道具の所持率、男女を問わずたこ焼きの作り方を知っている人が多い事からみても、たこ焼きの人気は高いものである。
この為、たこ焼きには欠かせない小さく角形に刻んだ紅生姜などは、近畿圏では昭和の中頃から瓶詰めにして多くの店で販売されていた。

近年は小麦粉に隠し味的な調味料やベーキングパウダーなど、場合によっては細かい乾燥紅しょうがなどの具がブレンドされた「たこ焼き粉」という専用の粉も発売されている。
たこ焼きのウスターソースとしては家庭ではお好み焼きソースで代用することが多いが、「たこ焼きソース」として専用のソースも発売されている。
最近では冷凍食品も発売されるようになった。
またタコ以外にチーズなどを具にしたものも登場している。

京都や関東などでは刻みキャベツを入れるなどのものも存在する。
しかし、たこ焼きの生地はお好み焼きに比べると非常に(小麦粉の濃度が)薄く、キャベツを入れるとかなり固めに焼かなければ固まらなくなるため、大阪で好まれるとろみのある食感は出せなくなる。
日本国外に進出したたこ焼き店も見られるが、地中海沿岸地域(南ヨーロッパ)やメキシコ以外ではタコを食べる習慣がないため、現地で受け入れられるような食材を代わりに入れるか、あるいは具を入れないで焼き上げたものが売られている場合がある。

たこ焼きを盛り付けるか入れる使い捨ての容器は、薄く削いだ木(経木)によるボート形の皿が一般的だが、紙製・発泡スチロールの容器、薄いプラスチックの容器などもある。
持ち帰りでは舟形の容器を包装紙で包むか舟形の容器をさらに薄いプラスチックの容器に入れる。
なお、楊枝は大抵2本付属しており、2本で一人分である。
理由は回転することを防ぐためとも言われる。

専門店のたこ焼きは、表面の皮状の部分が薄くやや堅い状態に焼け、内部がもんじゃ焼きのようにとろみのあるものが人気がある。
ただし本場の大阪では外側のクリスピーな食感は好まれず、表面の皮状の部分も柔らかく、成形した形を保てる限度の焼き加減が好まれる。

歴史

昭和40年代になると、関東地方でも屋台での販売が見られるようになる。
東京・銀座では生地にエビのすり身を入れたたこ焼きの屋台が独特の風味で人気を博した。

1990年代中盤から、京たこをはじめとするチェーン店のたこ焼き店が、渋谷センター街などの東京都に数多く進出し、一大ブームとなった。

2000年頃、築地銀だこが全国展開した。
「銀だこ」の名を使ったたこ焼き味のスナック菓子も作られた。

2000年以降、近畿地方以外に展開するチェーン店が増加している。

一方、関西圏でもたこ以外の具材を入れたたこ焼き、ソースに工夫を凝らしたたこ焼き、スープやうどんなどに入れて販売するたこ焼きなど、多様性に富むようになっている。

2002年には株式会社ラプレ社長の上谷信幸プロデュースによるコンパクトディスク「たこやきのうた」(歌:宇高香里とたこボールキッズ)がインディーズで発売され、大阪を中心に出荷枚数は1万枚を突破している。

たこ焼きの食べ方

表面にソースが塗られているものが主流である。
通常は青海苔と鰹節がまぶされ、好みによってさらにこれにマヨネーズをかける。

焼き上げられた後にソースなど調味料が塗られていない場合、なにも調味料をつけないで食べる(本体に味付されている場合は何もつけられず供される)ほか、食べる際に醤油、最近ではポン酢や食塩で味付けして食べることもある。

表面に醤油が塗られているものが、名古屋地方に多くみられる。

塩味を付けた澄まし汁のようなだし汁(主として鰹節だし)に浸した状態で供される。
神戸市西部から姫路市あたりにみられ、明石焼きに強く影響を受けたものである。
さらにそれにソースを塗って食べることもある。

関連の粉物料理

玉子焼_(明石市)(玉子焼)

卵の比率が多いたこ焼きと同様の食品をまな板状の木皿に並べて、澄まし汁状の出汁に浸しながら食べるもの。
薬味にはミツバが用いられることが多い。
兵庫県南部から大阪市にかけての地域に多くみられる。
明石市では「明石焼き」と言わず、「玉子焼」と呼ぶ。

基本的な作り方

いろんな店の店員や、家庭でよく作る人たちの意見を大まかにまとめると、以下のようになる。
もっとも、たこ焼きは店や作る人によって流儀やこだわりがあり、これが全てではない。
規格や規定があるわけではないので明確な出典や資料を示すことは不可能である。

小麦粉と卵を水またはだし汁で溶く。
(グルテンの生成を抑える為、温度は低い方がよい。店によっては氷水を使う店もある)
粘度が高く濃い状態~薄く粘度の低い状態になる程度に溶いて生地を作る。
生地に少量のすり下ろしたとろろを加える場合もある(店によってはこの後半日寝かす。ふんわりと仕上げるには寝かした方が良い、とのこと)。
この溶き具合はたこ焼きの要で、濃すぎると団子のような焼き上がりになり、薄すぎると焼いているうちに水分が逃げて縮んでしまう。
お好み焼きより遙かにシビアな溶き加減を要求される。
なお、お好み焼き粉と同様に、だしやとろろ芋が最適な状態でブレンドされた「たこ焼き粉」もスーパーなどで入手でき、特にこだわりがなければ十分である。

半球のくぼみが多数付いた専用の鉄板を専用コンロで加熱して、刷毛等で食用油を引き、くぼみの中へ生地をひたひたになるまで流し込む。

続いて細かく切ったゆで蛸を入れ、紅生姜・天かす・をざっと振りかけるように素早く入れる。
ネギや乾物エビ(オキアミ・サクラエビなど)を加えることもある。

裏面が薄く膜状に焼けてきたら専用の千枚通しのような道具でひっくり返す。

すると中のまだ固まっていない溶き粉が鉄板側に流れ球形になる。

反対面が焼けてくるとまた専用具でひっくり返し、ボール状に整える。
何度もひっくり返ししすぎないのが内部をとろみのある状態に仕上げるコツであるが、それには前述のように最適な溶き具合も要求される。

キツネ色に香ばしく焼き上がったら小皿に盛り付ける。
表面は少し固く、中は完全に固まらずクリーム状にとろみのある状態が上手い焼き方である。

ソースを上に塗る(好みによってマヨネーズをかける)。

鰹節と青海苔をかけ完成。

たこ焼き用の器具

特に近畿圏において、たこ焼き用の凹みのついた調理器具は「たこ焼き器」と呼ばれる。

たこ焼き器の変分

直接家庭用コンロにかける専用の調理器具

ガス式のたこ焼き専用コンロ

まんべんなく加熱できるように、バーナーも特に工夫されている。
さらに大型の物が業務用たこ焼き器である。
ガスボンベを用いたキャンプ用の物まで存在する。

ホットプレート付属のたこ焼き専用プレート

電熱式たこ焼き器

自動たこ焼き器

一定の時間が来ると鉄板が細かく振動し、たこ焼きが回転する。

本体は鉄の鋳物製が多く見られるが、銅製を好む人もいる。
明石焼きにおいては基本的に銅製を用いる。

形状は写真のような角型や丸型がある。
古いタイプの丸形のたこ焼き器は、火力に練炭火鉢を使用するため、大きさもこの大きさに合わせた物となっている。

たこ焼きを裏返すための串は、手元が熱いため串先の長い専用のものがある。
店によっては、たこ焼き器が傷つかないように竹製の菜箸(ただし1本)を使うことも多い。
家庭では一般的な千枚通しでも代用できる。

油引き用の刷毛は凹みにちょうど入る形状をしている。

なお、古いスタイルではたこ焼きを裏返さず、片面だけ焼き、たこ焼き器ごと裏返して、対となる鉄板の上にかぶせる。
たこ焼き器を戻すと、鉄板の上に出来上がりのたこ焼きが残る仕組みとなっている。
このスタイルのたこ焼きは、阪神百貨店地下スナックパークなどで供されていたが、現在はなくなってしまった。

これらの器具は、近畿圏で調理器具を扱っている店ならどこでも売られている。
本格的な物、あるいは業務用は日本橋 (大阪府)・千日前の道具屋筋に多く見受けられる。

韓国

日本語のまま「タコヤキ」と呼ばれている。
2003年に遊戯施設のロッテワールド内で販売が始まり、「たこ焼きのうた」と共に人気を博し、韓国語カバーが出た。
この曲のヒットと共にたこ焼きの人気が上がり、ソウル特別市市内各地に屋台が広がった。

台湾

1990年代に「日の船」というチェーン店ができ、そこでは「章魚小丸子」の名で売られている。
他に「章魚燒」などの名前でも売られている。
ソースが自家製の場合、甘味の味が多く、日の船においてはソースのほか練乳による味付けもなされる。

香港

2004年12月15日、「築地銀だこ UNY香港店」がオープン。

中国

日本式居酒屋のメニューにはあったが、2001年にやはり台湾の日の船「章魚小丸子」が中国大陸で法人を設立し、各大都市でのチェーン展開を進めている。

インドネシア

ジョグジャカルタスルタン家の第1王女がPR活動で来日を重ねるうちに、たこ焼きの味と手軽さにほれ込み、2006年、ジョクジャカルタに第1号店を誘致。
4個入り1食で11,000ルピア

[English Translation]