ちらし寿司 (Chirashizushi)

ちらし寿司(ちらしずし)は、寿司の一種である。
地域によって特徴が違う。
また、様々な種類が存在する。

概要

おおむね日本全国に分布するちらし寿司には、具を乗せるちらし寿司(乗せ寿司)と、具を混ぜ込むもの(混ぜ寿司)あるいは地域によっては混ぜ込んだちらし寿司にさらに刺身・切り身などを乗せるものの二つに大別される。
地域によって異なるが、多くは汁物として吸い物が添えられるが、味噌汁など別の汁物を添える場合もある。

「ちらし寿司」という名称では、主に東日本では江戸発祥の、握り寿司のネタ用の刺身などを寿司飯の上に並べた寿司と指し、西日本では生物を使わず、様々な具材を細かく切ったものを酢飯に乗せた寿司あるいは混ぜ込んだ寿司を指す傾向がある。

寿司の食品素材を販売する広島市の株式会社あじかんによれば、質素倹約を奨励し、庶民の奢侈をたびたび禁じた備前国岡山藩藩主の池田光政が汁物以外に副食を一品に制限する「一汁一菜令」を布告したことが、岡山名物のばらずしが生まれた背景となっていると説明している。
同社は、池田光正の命日である6月27日を「ちらし寿司の日」として日本記念日協会に申請、同協会により2004年4月1日に記念日として登録されている。

具を乗せるちらし寿司

酢飯の上に寿司だねを彩りよく配置して乗せた江戸前寿司店のちらし寿司のほか、鹿児島県の酒寿司・岡山県のばら寿司などがある。

関東のちらし寿司

江戸が発祥で、東京都をはじめ東日本での「ちらし寿司」。

握り寿司用のネタ(魚介類の刺身など)を中心にさまざまな具を飾り乗せして並べたもの寿司飯の上に具を飾り乗せするちらし寿司。
器に丼鉢を用いたものを海鮮丼とも呼ぶ。
寿司屋や丼物店で出されることが多い。

乗せる寿司だねは、マグロ・ネギトロ、ホタテガイ、サケ、イカ、エビ、タコ、イクラ、ウニなどの魚介類と、卵焼き、ガリなど寿司の素材に用いられるものが一般的で、ほかに青シソやキュウリの薄切り、茹でたキヌサヤなどで彩りを添え、ワサビを添えることが多い。

たねを小皿(おてしょ)にいれた醤油につけながら食べる。
寿司用の醤油を垂らして食べることもある。

岡山のばら寿司

江戸時代の岡山城下が発祥。
地域や季節によって内容が変わるが、酢飯の上に錦糸玉子を敷き詰め、その上に椎茸・干瓢の煮しめ、茹でニンジン、酢蓮根、エンドウ、竹輪、蒲鉾、田麩、味を付け高野豆腐、茹でた蛸、殻付の海老、焼穴子、烏賊、蛸、藻貝、鰆、ママカリのさまざまな具材を大きめに切断して(藻貝やエビ、エンドウなどは切らない)敷き詰める。
基本的には生ものを使用しない(地域によっては使用する)。

大阪などの関西・東日本一帯でも同様の名称の寿司(後述)があるが、乗せる具材の品目数・大きさ・量・盛りつけの豪華さなどが大阪の物よりも圧倒的に多いのが特徴。

岡山寿司・備前寿司・祭寿司(正確にはばら寿司弁当の商品名)などとも呼ばれる。

具を混ぜるちらし寿司

関西を中心とした西日本での「ちらし寿司」。
飯に細かく切った魚介類、野菜などの具を混ぜて食べるちらし寿司。
関東などの東日本では五目ちらし・五目すしと呼ばれる。
ばら寿司(大阪近辺)・ばらちらし(主に関東以外)などとも呼ばれる。

酢飯の中に混ぜ込む具として、一般に干し椎茸やかんぴょうの煮しめ、茹でたニンジン、酢レンコンなどをベースに、たとえば桜の花びらの甘酢漬け、タケノコの水煮などで季節感を出すなどの工夫が可能である。
さらに竹輪や蒲鉾、田麩、油揚げの煮つけ、味を付けた高野豆腐、茹でた蛸・海老、焼マアナゴ、烏賊の煮付けなどさまざま。
これに茹でた絹莢・インゲンで青い彩りを加えるなど、地域・家庭ごとに多様な具が用いられる。
具を混ぜ込んだのち、錦糸玉子や刻み海苔、ガリまたは紅しょうが、イクラなどをあしらう。

前述の岡山城下発祥のばら寿司の元となった、備前福岡 (瀬戸内市)発祥の「どどめせ」という寿司が発祥とされる。

市販されている「ちらし寿司の素」は、具を混ぜるちらし寿司をつくる基本的素材で、白飯に混ぜるだけで基本的なちらし寿司ができ、これにキヌサヤやインゲン、錦糸玉子、刻み海苔などを加えれば一般的なばらちらしが容易に作れる。
具として調理済みのニンジン、レンコン、シイタケ、タケノコ、カンピョウなどと調味料を混ぜたレトルト食品として広く流通している。

具の工夫次第で容易、かつ手軽に作れるため家庭でも作られ、雛祭りなどのごちそう、あるいは祭などハレとケの日の手作り料理として親しまれている。

なお、前述の岡山のばら寿司にも、地域によっては具材を混ぜ込む物も存在する。
また、混ぜ込んだ物の上から具材をさらに乗せるタイプもある。

その他のちらし寿司

上記以外に、三重県の手こね寿司などのように、具を混ぜ、さらに切り身を乗せるものもある。

さらに、リンゴ、ミカン、サクランボなどの果物を入れる地域もある。

[English Translation]