イノダコーヒ (Inoda Coffee)

イノダコーヒは京都市に本店・本社を置くコーヒーのチェーン店。
株式会社イノダコーヒが運営している。
イノダコーヒーと書かれる場合もあるが、正式名称には末尾の長音符は付かない。
赤いコーヒーポットの絵柄が商標に使われている。
また、画家でもあった創業者の猪田七郎が描いた「豆を運ぶロバと男」の絵も同社の象徴である。

京都市中京区の堺町通三条通の本店など市の中心部に数店を展開するほか、近年は札幌駅、東京駅、広島駅の各駅前などにも大丸内を中心に出店している。
京都市内の店舗はすべて喫煙席があり、分煙方式となっている。

商品構成など
比較的高級な路線で運営を行なっており、スターバックスやタリーズコーヒーなどの大手チェーンの倍程度の価格帯でコーヒーなどの飲料を提供している。
以前は必ず砂糖とミルクの入った状態でコーヒーが提供されていたが、近年はこれらを分けるか事前に質問される。
一方、サンドイッチなどの軽食はデカ盛り近畿地方があり本店等で食べられる「京の朝食」はボリュームたっぷりの朝食である。
自社の焙煎工場とケーキ工場を有し、特にコーヒー豆や挽いた粉については店頭だけでなく全国各地の百貨店、スーパーマーケット、茶葉店などでも販売されている。
「アラビアの真珠」と名付けたブレンドのコーヒーが特に有名。
自社の店頭やオンライン通信販売ではコーヒー以外にも、コーヒーカップなど食器類・アクセサリといった商品を取り扱っている、

沿革
1940年6月に猪田七郎が現・本店の場所で海外産コーヒーの卸売を始め、1947年8月にコーヒーショップを開いたのが創業である。
この時、客が会話に夢中になってコーヒーが冷め、砂糖とミルクがうまく混ざらなかった事があった。
これがきっかけとなり、初めから砂糖とミルクを入れた状態でのコーヒーの提供が始められた。
1958年5月に法人として有限会社イノダコーヒを設立し、1964年の二条通支店の出店を皮切りに京都市内へ店舗を展開していった。
1970年代初頭には女性向ファッション雑誌のアンアンやnon-noが創刊され、その中で店舗が紹介されて女性客の比率が半分を超えるようになり、この傾向は現在まで続く。

1978年には現在も主力商品となっているブレンドコーヒー、「アラビアの真珠」を発売した。
なお開業時から自社で焙煎を行なっていたが、1987年にケーキ工場を開設し、1994年には焙煎工場とともにリニューアルを行なった。
また1993年6月に創業者の猪田七郎が逝去し、翌月に長男の猪田浩史が社長に就任している。
1995年には資本金を3千万円に増資して株式会社に組織変更した。
1999年には初の京都以外の店舗である広島支店を開店するなど、業績を拡大してきた。
2007年に猪田浩史が会長となり、社長には藤原正康が就任した。

店舗
京都市内
本店 京都市中京区堺町通三条通下ル道祐町、全205席
創業の地にあり、本社を併設する。
創業時の木造店舗は1967年に増築されて用いられていたが、1999年4月9日に開店準備中の失火で半焼した。
準防火地域に立地するためそのまま再建する事はできなかった。
佐川美術館を手がけた内海慎介(竹中工務店社員)が設計し、アルミの外壁は木目調に塗装して一部を弁柄に塗るなど、京都の町屋の雰囲気を出している。
また、2階部はモルタル金ゴテ仕上げとして墨色に塗り、鉄筋コンクリート造りながら味わいある建物となった。
また、この改築に伴って新たに2階の客席が作られ、1階にも5mのガラス窓が設けられた。
2000年3月16日より営業を再開し、全店舗中で客席数が最大である。

三条支店 中京区三条通堺町通東入ル桝屋町、全58席
1970年に開店し、本店に最も近い。
また特徴的な円形カウンターがあり、目の前でコーヒーを漉す様子が見える。
多くの常連がこの円形カウンターに座る。
本店が火災により休業していた間、これを補うため開店時間を早めていた。
本店再開後に改装を行なった。

四条支店 下京区四条通東洞院通東入る立売西町、全160席
1965年にビルの地下1階に開店し、1975年に地下2階も店舗となった。
支店の中では最も席数が多く、地下1階は全席喫煙可能で喫茶メニューが充実しており、常連が多い。
地下2階は全席禁煙で各種オムライスや季節限定のメニューなど食事メニューが充実しており、家族連れや団体客が多い。

コーヒーサロン支店 下京区四条通高倉通西入ル立売西町、全54席
1970年に開店し、四条支店と同じブロックに位置する大丸京都店の1階にある。
大丸への初の出店。

ポルタ支店 下京区東塩小路町、全81席
1980年に京都駅前地下街ポルタに開店した。
京都駅から最も近い店舗。

清水支店 東山区清水、全100席
2000年に開店した、京都市内で最も新しい店舗。
清水寺などに近い事もあって、瓦屋根の純和風な造りである。

京都以外
札幌大丸支店 札幌市中央区_(札幌市)北5条西4丁目、全54席
2003年に大丸札幌店の7階に開店した。
北海道で初の店舗。

札幌紀伊國屋支店 札幌市中央区北5条西5丁目、全49席
2005年に紀伊國屋書店札幌本店の1,2階に開店した。
1階はsapporo55cafeというテイクアウト専門店で、2階が喫茶店となっている

東京大丸支店 千代田区丸の内、全58席
2007年に大丸東京店がグラントウキョウに移転したのに伴い、その8階に開店した。
最も新しい支店で、東京都で初の店舗。
オリジナルメニューとしてリンツケーキがある。

くずはモール支店 大阪府枚方市樟葉花園町、全68席
2005年にくずはモール内に開店した。
大阪府で唯一の店舗。

広島支店 広島市南区_(広島市)松原町、全19席
1999年に開店した、初の京都以外の支店。
また全席禁煙となったのも初。
福屋広島駅前店の地下1階にあり、席数は全店舗の中で最も少ない。

常連客
創業者の猪田七郎は二科会の監事を務め、また山本富士子主演の夜の河や山口百恵主演の古都 (小説)などの映画には本店が登場しており芸術界との関わりが深い。
下記のような文人、芸術家などが常連客として知られている。

谷崎潤一郎(作家)
池波正太郎(作家)
吉村公三郎(映画監督)
山口華楊(画家)
BONNIE PINK(歌手)

[English Translation]