八景 (Eight Views)

八景(はっけい)とは、ある地域における八つの優れた風景を選ぶ、風景評価の様式。
10世紀に北宋で選ばれた瀟湘八景がモデルとなり、影響を受けた台湾、朝鮮、日本など東アジア各地で八景が選定されてきた。
なお八景以外にも、四景、十景、十二景などの例も見られる。

内容

八景は瀟湘八景のように対象が固定されているものも多いが、台湾八景のように時代とともに内容が変遷するものもある。
また、8つの風景の組み合わせは瀟湘八景をなぞらえている場合と、知名度の高い名所を中心に選出した場合がある。
近年では後者が増えている。
前者のような伝統的な形式では、八景を構成する個々の項目は、風景の対象地とそこでの事象や事物を組み合わせている。

事象・事物の内容は瀟湘八景をそのまま踏襲し、下記の8つとする場合(例:近江八景)や、一部を同じものにする場合(例:最初の台湾八景)がある。
霞:本来は春または秋の霞。
青嵐と混同して強風としたり、嵐の後の凪とする例もある。

鐘:沈む夕焼けと山中の寺院の鐘楼の組み合わせ。

雨:夜中に降る雨の風景。

夕焼け:夕日を反射した赤い水面と、同じく夕日を受けた事物の組み合わせ。

帆:夕暮れの中を舟が一斉に港に戻る風景。

月:秋の夜の月と、それが水面に反射する姿の組み合わせ。

雁:広い空間で飛ぶ雁の群れ。

雪:夕方ないし夜の、雪が積もった山。
個々の項目の具体例を挙げると、近江八景の「石山の秋月」のように「石山」(対象となる地)と「秋月」(その地で見られる事象)のようになる。
この際、瀟湘八景と同様に前2句+後2句の漢字4文字となるように項目名が設定されることが多い(例:金沢八景)。
一方で日本新八景などは対象地のみを選び、そこでの事象・事物は指定していない。
また、事象を含む項目と地名のみの項目が混在した八景もある。

日本には中世の16世紀頃から、朝鮮では高麗末期の14世紀頃から概念が受容されたという。
瀟湘八景が書画から始まった事もあり、好んで絵画の題材とされてきた。
また、詩歌にうたわれた例も多い。

日本における八景

日本では、瀟湘八景に直接影響を受けて考案された近江八景が最初の例とされる。
各地には多くの八景があり、全国の400カ所以上に八景が存在する。
江戸時代に制定されたものが最も多く、浮世絵の連作のために考案された江戸八景などがある。

中国

瀟湘八景
黄山八勝
金州古八景
旅大八景

台湾

台湾八景

朝鮮

朝鮮八景
平壌八景
関東八景
関西八景

日本

日本の八景の一覧
近江八景
金沢八景
甲斐八景
福浦八景
日本新八景
琵琶湖八景
琉球八景

[English Translation]