再茲歌舞伎花轢 (Mata kokoni Kabuki no Hanadashi)
『再茲歌舞伎花轢』(またここに かぶきの はなだし)は清元節の曲目。
『申酉』(さるとり)の通称で知られる。
作詞:桜田治助、作曲:初代清元斎兵衛。
上記を伴奏に舞う歌舞伎舞踊・日本舞踊の演目。
『お祭』(おまつり)の通称で知られる。
振付:松本五郎市、初演:坂東三津五郎 (3代目)、文政九年六月(1826年7月)江戸中村座。
初演は風物・情景・祭礼など三段構成で見せる典型的な「三段返し」ものの演目であった。
赤坂 (東京都港区)の山王祭を題材とした上段「武内宿彌の山車人形」、中段「漁師の網打ち」、後段「金棒引きの鳶頭の踊り」からなっていた。
特に後段が当時からの人気で、以後はほとんどこの後段のみが上演されている。
この後段の歌い出しが「さるとりの〜」であることが『申酉』の通称の由来(山王祭では「申(猿)」と「酉(鶏」の山車が巡行の先頭をゆく)。
祭礼の雰囲気にみちた江戸前の曲と、賑やかで派手な振りの舞が特色で、これが『お祭』の通称の由来ともなっている。
鳶職を主役にそえ、これに若衆がからむのが基本。
また若衆のかわりに芸者がからんだり、芸者を主役にそえこれに若衆がからむといった派生版もある。
今日でもたびたび上演される人気演目のひとつある。
入れ事
はじめ大勢の端役が現れ賑やかに踊るなか、舞台上に粋な法被姿の鳶頭が登場。
その動きが一瞬止まったところで、大向うからは必ず「待ってましたっ!」という声が掛かる。
すると鳶頭は「待っていたとはありがてえ」と科白を返し、そこから踊りが再開する。
この場はここで「待ってましたっ!」が掛からないと舞台が先に進まない。
大向うが不可欠な演目のひとつ。
「待っていたとはありがてえ」は、即興で入れた台詞がいつしか台本の中に取り込まれてしまった有名な一例。