利休饅頭 (Rikyu manju)

利休饅頭(りきゅうまんじゅう)は茶聖千利休にちなんだお茶請けの和菓子である。
一般には皮に黒砂糖を用い、中に餡の入った比較的小さい蒸し菓子である。
お茶請けのお菓子としては、スタンダードなものの一つ。

しかし、利休饅頭(一部では「利久饅頭」の名も用いられている)という名前は共通でも、地方によってかなり異なる。
一つあたりの値段も、25円~120円程度と幅広い。
これは、大きさの影響もあると思われる。
銘菓として有名なのは、山口県宇部市、三重県伊勢市、島根県浜田市等である。

各地の利休饅頭
山口県宇部市
由来
千利休の茶会の時、黄金色の饅頭が出された。
この饅頭を利休が大変気に入り、それ以来利休の茶会には必ずこの饅頭が出されたという。
そのため、この饅頭は「利休饅頭」と呼ばれるようになったという。

特徴
一口サイズの黄金色をした蒸し饅頭。
リーズナブルで、40個で1000円(税別)程度。
こし餡と白餡の2種類。
三田風月庵の「利休饅頭」と吹上堂の「利休さん」は、パッケージ、色、名前(利休さん、利休饅頭)中の餡等は多少異なるが、どちらも人気がある。
地元では、一般に両方を含めて通称「利休饅頭」と呼ぶ。

吹上堂の「利休さん」は、畳の目が付けられているのが特徴で、白餡と黒餡がある。
また、吹上堂には「献上利休」という通常の「利休さん」の半分の大きさのものがある。
これは、2005年7月現在皇后の皇后美智子が山口県を訪れた際に、初めて作られた。
黒、白、ゆずの3種類の餡があり、現在は受注生産である。
あまり日持ちはしないらしい。

店名・商品名

吹上堂:利休さん

三田風月庵:利休饅頭

風月堂:利休饅頭

小川蜜カス本舗:利休まんじゅう

果子乃季:利休饅頭

特に有名なのは、吹上堂の利休さんと三田風月庵の利休饅頭。
歴史的には三田風月庵の方が古く老舗である。

三重県伊勢市
由来
明治の初め、伊勢国の茶道達が千家の宗匠を招き、大神宮献茶会を催した。
そのとき、藤屋窓月堂の初代藤波五左衛門が宗匠好みの饅頭をつくり、お茶の伴に用いた。
宗匠は、その床しき風味に感じ「利休饅頭」と付けた。

特徴
紅白と抹茶の3種類あり、紅は小豆こし餡、白はうずら豆こし餡を使用している。
抹茶は皮に抹茶をいれ紅と同じ餡を使用している。
抹茶は彼岸とお盆の期間限定で販売されている(ある程度の数量を頼めば彼岸とお盆以外の時期でも受注生産してくれる)。
最初は、白いものだけだったが、慶事に使えるように、皮をうす紅に染め、小豆の漉し餡をいれたものを創った。
地元では、引き出物としてこの饅頭の詰め合わせを使うことがある。
上品な甘さが人気を集める薯蕷で三重県の代表的銘菓。
他の一般的な利休饅頭と由来も特徴も大きく異なる。
弔事用の緑の物もある(この為か地元では利休饅頭=葬式饅頭と揶揄される事がある)。

歴史
昭和26年11月、昭和天皇、三重県御巡幸にのとき献上。
平成2年11月、天皇即位による神宮御親謁みのとき献上。

店名・商品名

藤屋窓月堂:利休饅頭

リクルート事件の藤波孝生元官房長官の生家。
そのため、地元では別名リクルート饅頭と呼ばれることもあるらしい。

島根県浜田市・大田市
由来
千利休(茶聖)→古田重然公(茶人)→初代浜田城主古田重治公家(重治は重然の甥)→仲屋の家祖治右衛門と伝えられた。
治右衛門は長期保存に耐える饅頭を作り出した。

特徴
硬くなったらこんがり焼くか、または衣をつけて食油で揚げてもおいしい。

店名・商品名

仲屋(大田市):利休饅頭

仲屋老舗(浜田市):利休饅頭

京都府
特徴
昔の黒糖の産地であった奄美大島から名づけられたといわれている。
こしあんの饅頭で、焼印には紅葉と銀杏のものがある。

店名・商品名

畑野軒老舗:大島饅頭

広島県呉市
特徴
贈物として人気。

店名

鶴屋安芸

静岡県熱海市
特徴
北海道産の小豆と沖縄呆波照間島産の黒糖を使用。

店名・商品名

あたみや:利休饅頭

利久:利久まんじゅう

特徴
餡は備中産の大納言を白ザラで炊き、生地は沖縄波照間産の黒糖を使用。

店名・商品名

中村屋

利休饅頭

静岡県沼津市
店名・商品名

お菓子処ヤマモト:利休饅頭。

栃木県那須温泉
特徴
ゴマ団子風のお饅頭で温かい。
お茶と一緒に運ばれてくる。

店名
那須温泉山楽(旅館)

山形県酒田市
特徴
しっとりとした皮に濃厚なこしあんが入っている。

店名・商品名

酒田屋:利休饅頭

東京・横浜
特徴
薄皮にこしあんを詰めた饅頭。
皮には大麦粉(食物繊維の含有量が多い)と黒砂糖(ミネラルが豊富)を使用。

店名

寿々木

北海道函館市
店名

栄餅本店

大阪市北区 (大阪市)中津
店名

広喜堂

熊本県天草市
特徴
黒糖のさっぱりした甘さ。

店名

饅頭よしだ屋

フランス パリ
店名

虎屋パリ店

インドネシア バリ島 サヌール
店名

gekkou cafebar

バリ島にある和菓子のカフェ。
利休饅頭もある。

利休饅頭を描いた落語
落語家、三遊亭圓窓の圓窓五百噺の中の一つ、「茶の湯」に「利休饅頭」が登場するが、非常にまずい饅頭として語られる。

根岸 (台東区)に住むある隠居が、近所の者を集めて茶会を催していた。
お茶がひどいものでとても飲めた代物ではなかったため、お客は上等なお菓子のみを目当てにしてきていた。
やがて、隠居は菓子屋への支払いがバカにならないと思い、菓子を自作することにする。
しかし、芋を原料にした饅頭のようなものだったため、ひどい味だった。
隠居は、この饅頭もどきを「利休饅頭」と洒落た名前を付けた。
その後、初めて招いたお客に例のまずいお茶と利休饅頭を出した。
お客はお茶がまずかったため、利休饅頭を口にする。
しかし、これもまずかったため、厠に行くふりをして、この饅頭もどきを外に投げ捨てた。
この投げ捨てられた饅頭が畑で働いていた百姓の顔にあたり、百姓は汚れを取りながら、「また、茶の湯、やってんなァ」とつぶやく、という噺。
また、三遊亭金馬 (4代目)も演目としてこの「茶の湯」を行っているが、細部が異なっている。

その他
旅館等で温物として出されたり、料理学校などで和菓子の作り方で題材にされることがある。
また、糖尿病の人でも食べられる低カロリー和菓子の利休饅頭もある。
変わった食べ方としては、小麦粉を薄く溶いてその中に饅頭を泳がせて揚げるという方法がある。

[English Translation]