印地 (Inji (Slinging techniques))
印地(いんじ)とは、日本で石を投擲することによって対象を殺傷する戦闘技術、行事である。
印字とも書かれる。
また投石技術でこの技術に熟達した者を印地打ち、印地撃ち(印字打ち、印字撃ち)と呼び、また、印地使い(印地遣い)等とも呼んだ。
概要
手で投げることを始めとして、西洋のような投石器を使用するもの、日本手ぬぐいを持ってそれに代用するもの、砲丸投のように重量のあるものを投げつけるものなど様々な形態があった。
石
約3寸(約9cm)の平たい丸石で縁欠いてある。
技法
手で投擲することに関しては、野球の投手を見ればわかる通り、それだけで脅威である。
西洋のものと同様の投石器を使用する場合は、布の両端に紐を付けたものを使用する。
片方の紐を手首に縛り、もう片方は同じ手に握る。
中央の布部分に手頃な石を包み、頭上でそれを回転させる(身体の脇で回転させる技法もある)。
十分に速度がついたところで手を放すと、加速された石が弾丸のように飛んでいく。
投石器自体は、手首に縛り付けてあるので手元に残るので、新たな石を挟むことで、即座に次の石を投擲出来る。
簡単なものでは、日本手ぬぐいなどでそのまま代用出来たらしく、戦場以外でも、喧嘩や抗争に多用された記録が残っている。
ちなみに、投擲する方法以外にも、近距離では分銅術として使用する方法や、石を紐で縛ったものを大量に用意しておくことで次々に投げつける方法、また、現在で言うハンマー投げように大きなものを投げつける方法などもある。
使われ方
合戦においては、そのローコストさが非常に使いやすかったらしく(河原にいけば、簡単に石は確保出来た)また、熟達した兵士が使用した場合は弓よりも飛距離があった上、甲冑の上からでも衝撃が伝わったと言うことで、多用されたらしい。
近年の研究によって、戦場では、弓矢、鉄砲につぐ兵器として、盛んに使われたとされている。
近代では、石の代わりに、火薬や油壺を投げたりもされたらしい。
(安保闘争などで、過激派が、火炎瓶、投擲爆弾、発煙筒などでも使用したとされる)
近世の城郭では印地用の石を城内に蓄積している。
行事としての印地
なお、五月五日に大勢の子供が集まり、戦国時代の合戦をまねて二手に分かれて石を投げ合う行事もこう呼称する。
かつては、大人達がこれに参加していたが、負傷や死亡も相次いでいたとのこと。
近代は子供の遊びとなり、現代では廃れてしまっている。
石合戦の名前でも有名。