和裁 (Wasai (Japanese clothing manufacture))

和裁(わさい)は、和服を制作することやその技術のこと。
和裁は和服裁縫の略語。
大正時代の頃までは、裁縫といえば和裁のことであったが、洋裁と区別するために、和服の裁縫のことを和服裁縫、または和裁と呼ぶようになった。
現在「裁縫」という言葉は和裁・洋裁のどちらも含む総称である。
裁縫のことを「仕立て」ともいう。

和裁の特徴
洋服の場合は、既製品であっても、着る人のそれぞれの体型に合わせてサイズの異なる服が作られる。
一方、和服の既製品の場合は、袴と足袋を除けば、子供用・大人の男性用・大人の女性用の3つの標準寸法があるだけである。
ただし、袴と足袋の既製品は種々のサイズが作られる。
特別な体型で標準寸法の和服では合わない場合は、採寸して作られる。
しかし袴・足袋を除けば、和服を個人の体型に合わせるのは着付けの段階である。
女性用の和服では、裾の長さは腰の位置で折り畳むことにより調節される。
このように折り畳んだ部分をおはしょりと呼ぶ。
男性用の和服の着付けではおはしょりは作らない。
洋服にはないこの和服の特徴により、和服を新たに取得するときに、洋服よりもサイズを確かめる必要性が低い。
また、親と子の体型がよほど大きく違わないかぎり、娘の結婚式などで母の高価な和服を娘が着るようなことが可能となる。
ただし、女性用の和服であっても、欧米の白人女性が着る場合、彼女たちは一般的に日本人女性と比べて背が高く、サイズが合わないことがある。
男性用・女性用を問わず、正装の和服は格調高く作られ、非常に高価であり、伝統工芸品・芸術作品としての価値が生まれることもある。
普段着の和服は、工場で大量生産されることがある。

長さの単位に、メートル法ではなく尺貫法の丈・尺・寸が使われることがある。

反物
反物は、和服の材料となる織物の総称である。
幅が36cmから72cm、長さが4mから26mある、細長い布である。
大人の女性用の長着によく使われるのは、幅が36cmの並巾と呼ばれる反物である。
女性用の長着を一つ作るには、12mほどの長さの並巾が必要である。

和裁道具


和裁の針には、「紬えりしめ」「絹えりしめ」「木綿えりしめ」「大ちゃぼ」「中ちゃぼ」「小ちゃぼ」「絹くけ」「大くけ」「小くけ」「木綿縫い」「三の三」「四の三」「四の四」などが使われる。


和裁の糸には、絹手縫い糸、躾(しつけ)糸などが使われる。

はさみ

はさみには、裁ちばさみと糸きりばさみが使われる。

ものさし

尺で計測できるものさしや、鯨尺で計測できるものさしがある。

その他

指貫

へら

チャコ

霧吹き

袖丸型

絎台

裁縫箱

衣紋掛け


厚生労働省の技能者表彰

厚生労働省は、1967年度から毎年1回、推薦された者を審査し、卓越した技能者を選んで、「現代の名工(卓越した技能者)」として表彰・発表している。
「衣服の職業」という職業部門に、「和服仕立・修理職」という職業分類がある。
和服仕立職や染色工など、和服関連の職業の卓越した技能者が、今まで多数表彰された。

[English Translation]