大帷 (Okatabira)

大帷(おおかたびら)

(1)装束の下に着る衣のひとつ。
汗を取るために着る帷である。
汗取りともいう。
その形は単(ひとえ)とまったくおなじで、こぶりで、みじかいものであった。
単と異なり麻布を用いる。
中世にはその名のとおり、夏だけ単にかさねて着たものであったが、のちに四季を通じて衣紋を保たせるために着て、通例、夏は赤、冬は白帷であった。
色目にはふるくから白、萌黄、香、(「玉葉」)藍、摺、紅、赤(「山槐記」)浅黄(「枕草紙」「玉薬」)などであった。

(2)武家で、糊を強くひいた白布で仕立て、単の直垂の下に重ねて着た衣。
衣紋を正しくするために、正式の場合に用いられた。
形状は、おくみがなく端袖のあるもので、直垂とほぼ同型で胸紐のないものである。

(3)公家室町時代より単、衵(あこめ)、下襲などを略して、この帷に下襲の襟をつけ、あるいは単の袖の生地を端袖として縫いつけ、これらを重ねたようにみせかけたもの。
形状は、おくみがなく、前述のように単の生地の端袖のあるもので、(2)の武家の大帷に似た形をしており、そこから派生した可能性が高い。
なお単には端袖はないから、大帷のほうが単より裄が長い。

最古の遺品は上杉神社所蔵の室町末期のものであるが、その形状は近世のものとかわらない。
ついで林原美術館に江戸時代初期のものがある。

なお、賀茂祭においては近年までこの大帷子が用いられたが、最近は裄を単と同じにしたものが使われている。

[English Translation]