天地の歌 (Ametsuchi no Uta (a Japanese pangram))
天地の歌(あめつちのうた)は、手習い歌の一つで、すべての仮名を歌い込んだもの。
実態から言えば歌ではないので、天地の詞(ことば)という呼び方の方が適切であるが、天地の歌で通用している。
文献上の初出は源順(みなもとのしたごう。911生-983没)の私家集である『源順集』(平安中後期成立)所収の沓冠(くつこうぶり)歌。
上代特殊仮名遣のコの甲乙の区別は存在しないが、ア行のエとヤ行のエを区別している点から、平安初期(900年前後)の成立と見られる。
中国の千字文を意識して1行に名詞が4語並ぶように作られているが、5行目で早くも動詞を使用するなど形式的にも破綻しており、6行目は無意味な語の羅列になっているなど、作品としての出来は決してよいとは言えない。
しかしながら、他に適当なものがなかったためか、いろは歌が普及する平安後期までは、もっぱら天地の歌が手習い歌として使用されていた。
「あめつち」「あめつちほしそ」とも。