奈良漬け (Narazuke (gourd pickles seasoned in sake lees))
奈良漬け(奈良漬、ならづけ)とはウリ、キュウリ、スイカ、ショウガなどの野菜を塩漬けにし、何度も新しい酒粕(さけかす)に漬け替えながらできた漬物である。
歴史
奈良漬けは、元々1300年以上も前より『かす漬け』という名で存在していた。
平城京の跡地で発掘された長屋王木簡にも「粕漬瓜」と記された納品伝票らしきものがある。
なお当時の酒はどぶろくであったため、粕とは搾り粕ではなく酒の底に溜まる沈殿物のことであったようである。
また当時は上流階級の保存食・香の物として珍重されていたようである。
高級食として扱われていたという記録がある。
その後、奈良漬けは江戸時代に入り幕府への献上や奈良を訪れる旅人によって普及した。
そして庶民に愛されるようになる。
そして『奈良漬け』という名前に変わったのは、奈良の漢方医糸屋宗仙が、慶長年間(1596年~1615年)に名付けたからである。
現在では一般名詞化し、奈良県以外で製造したものも奈良漬けと呼ばれる。
特徴
ウナギの蒲焼きに奈良漬けの組み合わせは定番となっている。
鰻を食べた後に口に残る脂っこさを奈良漬けが拭い去る。
そして口をさっぱりとさせる効果がある。
胃の働きを活発にし胸焼けを抑える。
栄養面からも脂肪の分解やビタミンやミネラルの吸収を助けるなどの効果があるとされている。
なお、奈良漬けを多量に食べた後に自動車を運転すると、酒気帯び運転となる場合がある。
だから、食後に運転する予定がある場合は注意する必要がある。
ただし、アルコール健康医学協会によると、アルコール度数5%の奈良漬けの場合、約60切れ(約400g)もの量を食べなければ基準値に達しないということである。
また、財団法人交通事故総合分析センターの実験によると、奈良漬け50gを食べた20分後に行なった走行実験では呼気中のアルコール濃度はゼロであり、走行にも影響を与えていない。
酒気帯び運転で逮捕されて当初は「奈良漬けを食べた」と供述した事例でも、後の調べで飲酒していたことが判明している。
その他
大韓民国でも在日韓国・朝鮮人、戦後の朝鮮・韓国人帰国者が奈良漬けを伝えたことで、一部の人々の間で知られている。
市場などでは、そのまま日本語風に”ナラヂュケ”という表音の韓国語で表記されて類似品が売られている。
近年、日本への新しい輸出品目として、韓国の「農水産物流新聞」の主催する市民大学・ビジネスセミナー等で、提案、検討されている。