富嶽三十六景 (Fugaku sanjurokkei (Thirty-six Views of Mt. Fuji))
冨嶽三十六景(ふがくさんじゅうろっけい)は、葛飾北斎の作成した代表的な風景画・浮世絵である。
作品概要
「冨嶽」は富士山を指し、各地から望む富士山の景観を描いている。
初版は1823年(文政6年)頃より作成が始まり、1831年(天保2年)頃から1835年(同4年)頃にかけて刊行されたと考えられている。
版元は永寿堂西村屋与八。
発表当時の北斎は72歳と、晩年期に入ったときの作品である。
また西洋画法を取りいれ、遠近法が活用されている事、当時流行していた“ベロ藍”ことプルシャンブルーを用いて摺ったことも特色である。
浮世絵の風景画は当時「名所絵」と呼ばれており、このシリーズの商業的成功により、名所絵が役者絵や美人画と並ぶジャンルとして確立したと言える。
「凱風快晴」や「山下白雨」のように、富士山を画面いっぱいに描いた作品から、「神奈川沖浪裏」や「甲州伊沢暁」のように遠景に配したものまであり、四季や地域ごとに多彩な富士山のみならず、各地での人々の営みも生き生きと描写している。
日本のみならず、フィンセント・ファン・ゴッホやクロード・ドビュッシーなど、世界の芸術家にも大きな影響を与えた。
当初は名前の通り、主版の36枚で終結する予定であったが、作品が人気を集めたため追加で10枚が発表され、計46枚になった。
追加の10枚の作品を「裏富士」と呼ぶ。
作品一覧
下記の内、代表的な作品として知られるものには、赤富士を描いた「凱風快晴」、巨大な波と舟の中に富士を描いた「神奈川沖浪裏」などがある。