御曹司 (Onzoshi)
御曹司 (おんぞうし)
歴史上の「御曹司」
日本の中世の武家において、家督の男子子弟のうち、嫡男以外の者。
つまり家督の近親者としての敬意を払う対象ではあるが、将来的には家督を相続する立場にないため、必ずしも忠誠を尽す対象ではない者を指した語。
平安時代末期から近世の初め頃まで使われた語で、江戸時代に入るとこれを部屋住み(へやずみ)と呼ぶようになる。
この「御曹司」は、主に源頼朝や源義経などといった源氏の子弟を指した。
一方、同じ武家でも平清盛の代に急速に公家化した平家の子弟は「公達」といった。
現代用語の「御曹司」
今日「御曹司」には主に二通りの意味がある。
歌舞伎役者の権門の家に生まれ、長じては名跡を襲名することが定められている男子。
例えば、市川海老蔵 (11代目)や尾上菊之助 (5代目)はそれぞれ成田屋・音羽屋の御曹司である。
裕福な家に生まれ、ゆくゆくはその財産を相続することが期待される男子。
良い意味で「お坊ちゃん」、悪い意味では「どら息子」のニュアンスが含まれる。