懐紙 (Kaishi (Japanese tissue))
懐紙(かいし)
日本の茶道で用いられる道具の一つ。
本項で詳述。
日本の書道史の用語で、皇族、貴族らが歌会などで自らの詠歌を一定の書式に則って清書した用紙。
和歌懐紙のほか、漢詩を書いた詩懐紙もある。
懐紙(かいし、ふところがみ)とは、懐に入れて携帯するための小ぶりで二つ折りの和紙である。
古くは平安時代より貴族階級において様々な用途で使われており、現代でも和装の際や和食などの席で使用することが多い。
本項目では、主に茶道において用いられるものについて記述する。
用途
茶席において様々に使われるが、主な用途は以下の通り。
受ける
出される主菓子および干菓子を取り分ける際に、客側が手元の皿代わりに用いる。
この際、束のままでわさ(折り目のある側)を手前に置いて扱い、使い終わると右肩か左肩で箸を拭う。
食べ終わった後は下から一枚だけめくり返して、粉などが落ちないように注意して懐や袂にしまう。
拭う
薄茶では、飲み終わった後に茶碗の飲み口を指でぬぐい、その指を懐の懐紙で清める。
濃茶の場合は、茶碗の飲み口を直接懐紙で、または小茶巾と呼ばれる専用の布や紙でぬぐう。
包む
菓子を食べきれない時は、懐紙に包んで懐や袂にしまう。
種類
大きさは男性用が17.5×20.6cm程度、女性用が14.5×17.5cmのものが一般的。
この規格のものは本懐紙とも呼ばれる。
色や柄はさまざまだが、男性用は白無地が圧倒的に多く、女性用ほど多様な色柄を扱っている道具屋は少ない。
食べ残しの菓子などを包んで持ち帰る際に便利なよう、片側が袋状になったものもある。
また、春から秋にかけて出されることの多い、水分を多く含む菓子の場合、普通の懐紙では水気が滲み通ってしまう。
そのため、トレーシングペーパーと呼ばれる半透明の薄い紙を重ねるか、防水加工がされた専用の懐紙を用いる。
持参方法
主に客側が使うため、亭主側が用意するものではなく、基本的には客がそのほかの必要な道具などとまとめて袱紗挟み(懐紙入れ)に入れて持参する。
持ち合わせがない場合は、受付などで相談すれば懐紙と爪楊枝黒文字を準備してくれることがある。
また、周りの連客にその旨を伝えて分けてもらうこともできる。
また、一般客を対象にした大寄せの茶会などでは懐紙自体を持参する必要がない場合も多い。
その場合、本懐紙の他に、菓子司の名入り一枚ものの紙が使われることもある。
これも広義には懐紙に含まれる。