手鑑 (Tekagami)

手鑑(てかがみ)とは、厚手の紙で作られた折帖に、古筆の断簡を貼り込んだ作品集。
古筆を手軽に鑑賞できるところからこの名で呼ぶ。
その形状から、鏡を開くことへの見立ても含んでいるかもしれない。
「手鏡」とも。

安土桃山時代以降、茶道の流行にしたがって、古筆が鑑賞の対象として愛好されるようになると、経巻や歌書・消息などの巻子本や冊子装からその一部を切り取って「古筆切」として収集することが流行した。
手鑑は、こうした切を台帳に編集したものである。

古筆愛好家たちは、数多くの古筆・名筆を鑑賞するために、古筆切を帳面に貼り込んで手鑑を作成した。
武家や公家においては、手鑑は大切な嫁入り道具ともなったという。

また、古筆家、古筆見、あるいは単に古筆と呼ばれた古筆鑑定の専門家(古筆了佐など)は、鑑定の標準とすべき代表的な古筆切を法帖に押した手鑑を携行した。
そしてそれらを鑑定の基準とした。

「翰墨城」「藻塩草」「見ぬ世の友」「大手鏡」などは国宝。

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