油坊 (Abura-bo)
油坊(あぶらぼう)は、滋賀県や京都府に伝わる怪火、または亡霊。
名称は、油を盗んだ僧侶がこれに化けたという伝承に由来する。
概要
滋賀県では、野洲郡欲賀村(現・野洲市)に、晩春から夏にかけて油坊という怪火が現れたと伝えらており、比叡山の灯油を盗んだ僧侶が変化したものといわれた。
江戸時代の怪談本『古今百物語評判』では、名は「油盗人」(あぶらぬすびと)とされている。
このような怪火は京都府にも現れたといい、寛政時代の雑書『諸国里人談』によれば比叡山の西麓にも現れたという。
また、滋賀県愛知郡 (滋賀県)愛荘町の金剛寺では、油坊は油を手にした霊とされる。
こちらにも野洲郡のものと似た伝承があり、寺に灯油を届ける役目を持つ僧侶が、遊ぶ金欲しさに灯油を盗んで金を作ったが、遊びに行く前に急病で命を落としてしまい、それ以来、寺の山門に霊となって現れるようになったという。