湿拓 (Shittaku (wet rubbing))
湿拓(しったく)は紙を湿らせて対象物に張り、その後墨をつけてとる拓本。
本来の拓本は湿拓のみであったが、乾拓ができたため、その対比として生まれた名称である。
間接拓と直接拓という言葉もかつては存在せず、間接的に採るのを拓本と称し、直接採るものは印刷、もしくは版画、押印と呼んだ。
魚拓は本来は魚版とか魚印と呼ばれるところ、間違って魚拓と呼ばれるようになった。
中国では湿拓は紙を湿らせて対象物の石や金属に貼り付けるが、日本では紙を対象物に貼り付けてから、噴霧器やタオル、刷毛などで湿らせて密着させる。
水をつけすぎると紙が破れるが、少ないと密着しない。
適度な水をしわなく貼り付けることが重要である。
また墨をつける段階である程度乾かさないと、墨が滲んだり、薄くなったりする。