積恋雪関扉 (Tsumoru Koi Yuki no Seki no To)
積恋雪関扉（つもるこいゆきのせきのと） 通称関の扉（せきのと）は、常磐津節及びそれに合せて演じられる歌舞伎舞踊の演目。
江戸時代の作品で、現在でも良く上演される。
常磐津節の中では初期の作品だが、上下二巻の大曲で傑作との評価が高い。
六歌仙の世界を舞台に、雪中に桜の咲く幻想的な場面でさまざまな踊りが表現される。
あらすじ
雪の降り積もる逢坂の関では、不思議に小町桜が咲いている。
そこには良岑宗貞（後の僧正遍照）が隠棲していたが、元の恋人小野小町が通りかかる。
その仲を関守の関兵衛が取持とうとする。
しかし関兵衛はどこか怪しい。
（上巻） 関兵衛こそは実は天下を狙う大伴黒主であった。
これまでその機会をうかがっていたのだが、星占いの結果今がその時と知る。
早速、野望の成就祈願に使う護摩木とするため、小町桜を切り倒そうとする。
しかしそこに薄墨と名乗る遊女が現れ、関兵衛をくどきはじめる。
薄墨こそ、小町桜の精で関兵衛の野望を阻止するため、人の姿をして現れたのだ。
やがて二人は互いの正体を現し、激しく争うのだった。
（下巻）
みどころ
曲は、はやり歌や二上り・三下り等を多彩な節を取り入れている。
変化に富み、聞くものを飽きさせない。
振付けは天明振りという大らかかつ洒脱なもので、歌舞伎舞踊の初期の姿を伝えている。
上巻の小町姫と関兵衛の問答・三人の総踊り、下巻の関兵衛の行動・廓話・見現しから最後の立回りと、様々な見せ場が続く。
初演
天明四年（1784年）11月、江戸・桐座で『重重人重小町桜（じゅうにひとえこまちざくら）』の大詰めの浄瑠璃として上演された。
上演月の通り、顔見世狂言である。
作詞 宝田寿来
作曲 鳥羽屋里長、岸澤式佐
振付 西川扇蔵
関兵衛 実は大伴黒主
- 中村仲蔵 (初代)
良岑宗貞
- 市川門之助 (2代目)
小野小町・墨染の精
- 瀬川菊之丞 (3代目)