競技かるた (Kyogi Karuta)

競技かるた(きょうぎかるた)とは、百人一首を用いて、社団法人全日本かるた協会が定めた規則に則って行う競技である。

現在では、小学生から高齢者まで幅広く、性別を問わず行われている。
一般的なイメージである文化活動や伝統文化という側面よりも、近年はTシャツにジャージで行うスタイルや、瞬発力・記憶力が必要とされることからマインドスポーツとして取り組まれている。
しかしその一方で、全日本かるた協会が一部の大会で和装の義務化を行った。
このことで、競技者の間から初心者の敷居が高くなってしまう、気軽に楽しめなくなってしまうなどの懸念があり、反対の声がある。
競技人口は正確には協会も把握しておらず、現在のところ100万~200万人といわれている。
毎年1月には、滋賀県大津市の近江神宮において、日本一を争う男性部門の名人戦と、女性部門のクイーン戦の決勝が行われ日本放送協会で放送されている。

競技方法

百人一首の100枚の札のうち50枚を使用する。

その50枚を裏返した状態で25枚ずつ取り、それを自分の陣地(自陣)の畳に3段に分けて並べる。
このとき札を並べる範囲は横87cmまでとなっており、

そのとき相手の陣地(敵陣)にも同様に25枚が並べられた状態となる。

その後15分間の暗記時間が設けられ、その間に自陣・敵陣の50枚の位置を暗記した後、競技が開始される。

15分の暗記時間中の最後の2分間は素振りが認められる。
しかし素振りの間の畳を叩く行為等が問題視されることもある。

暗記後は対戦相手、読手の順に礼をしてから競技が始められる。
これはかるたは礼に始まって礼に終わるというかるた道の精神によって、定式化されている。

詠み札は、畳の上に並べられた札ではない札(空札)を含めて詠まれる。

お手つきは、空札が詠まれているのにも関わらず、自陣または敵陣のいずれかの札に触った場合や、詠み札が自陣(敵陣)にあるのにも関わらず、敵陣(自陣)の札を触ってしまった場合である(自陣(敵陣)の札に触れた際勢いがついて札が敵陣(自陣)の札を動かした場合はお手つきにはならない)。
ただし自陣(敵陣)にある札が詠まれた場合、その陣の中にある別の札を触ったとしてもお手つきにはならない。

自分がお手つきをした場合は、相手から1枚札を自分に送られることになる。

自陣にある札をとった場合、その札が1枚減り、敵陣にある札をとった場合、自陣の札の好きな札を敵陣に送ることで自陣の札が1枚減る。

これを繰り返し、自陣の25枚の札がすべてなくなった時点でなくなった陣のほうを勝者とし、競技は終了する。

尚、全日本かるた協会が定める競技の最初に読まれる歌(序歌)は一般には「難波津に咲くやこの花冬ごもり今を春べと咲くやこの花」である。

競技かるたの問題点

長い
1試合あたり暗記の時間を含めるとおよそ90分かかる。
これはサッカーの1試合の時間に等しい。
大会で勝ち進むとこれを何試合も繰り返す(最大5~7試合)のでタフさが求められるため、敷居の低い競技ではない。
また、高校選手権では時間短縮のため枚数が制限されるようになっている。

ルールが曖昧
一応大会競技規定は存在するが、競技者がそれを読み、理解しているとは言いがたい。

そのルールも曖昧な点が多く、例えば共お手つき(相手と手が接触し、自らの意思に拠らず不可抗力でお手つきが発生すること)などの解釈は人によって違うどころか、知らない競技者も存在する。

全国大会が行われているにもかかわらずルールに統一性が欠けているのは大きな問題といえる。

後述する議論の問題にも大きく関係している。

議論
競技かるたは基本的に一組に1人の審判がつかない状態で行われるため、微妙な判定も競技者で判断しなければならない(セルフジャッジ)。

試合を大きく左右するタイミングでの議論は互いに譲りにくい、ルールに統一性が欠ける上にお互いが競技かるたのルールを熟知していない、などの理由で揉めることが多い。

議論をふっかけた者勝ち、気の強い者勝ちという風潮が強く、試合の議論で正しい結論が導かれるとは限らない。

競技かるたをスポーツだと言う人間は多いが、1つの試合に1人以上の審判がつかない対戦形式のスポーツは稀有である。
審判問題の解決は急務である。

試合前に礼を行うなど、礼を重視しているにもかかわらず、礼節を欠いた議論が多いことは目を背けてはならない事実だろう。

主な大会

名人戦・クイーン戦
全国かるた競技選抜大会
全日本かるた選手権大会
全国高等学校小倉百人一首かるた選手権大会(かるた甲子園)
全日本かるた大学選手権大会

[English Translation]